ニジェールのクーデターに対するフランスの反応

(ニジェール、フランス)

パリ発

2023年08月14日

西アフリカのニジェールで発生したクーデター(2023年7月31日記事参照)に関し、フランス政府は7月28日付の外務省声明において、ニジェール国民によって民主的に選出されたモハメド・バズム大統領が同国唯一の大統領であり、アブドゥラハマネ・チアニ将軍が主導し、クーデターにより権力を掌握した「祖国防衛国民評議会(CNSP)」の合法性を認めないことを宣言した。また、国際社会とともに、ニジェールにおける憲法秩序およびバズム政権の回復を求めるとしている。

その後、フランス政府は同国を対象とする全ての政府開発援助(ODA)を中止した。また、7月30日に首都ニアメのフランス大使館が襲撃および放火されたことを受け、現地に在住するフランス人577人を退避させた。

フランスはニジェール情勢の解決を目指す西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の取り組みを支持すると表明したが、同国における反仏デモが拡大する恐れがあるため、慎重な姿勢を維持せざるを得ない状況にあるとみられている。

フランスはニジェールに1,500人程度の軍部隊を駐留させており、アフリカにおけるフランス軍の主要拠点の1つとなっている。一方、フランスにとってニジェールはエネルギー面でも重要な調達先の1つであり、フランス原子力企業「オラノ」(旧アレバ)グループは3つの現地法人を通じてウラン鉱山の開発事業を行っている。世界原子力協会(WNA)によると、2022年の世界全体の年間ウラン総生産量は4万8,888トンだったが、ニジェールは2,020トンを生産し、世界全体の4%を占めた。「フィガロ」紙によると、フランスは2000年以降、原子力発電所向けのウラン調達先の多様化をはかっており、現在はニジェールのほか、カザフスタン、オーストラリア、ウズベキスタン、ナミビアなどからも調達している。輸入統計(数量ベース)によると、フランスの2022年4月から2023年4月までのウラン輸入先において、ニジェールは約22%のシェアを有しており、カザフスタンとウズベキスタンに次いで3位となっている。

(ピエリック・グルニエ)

(ニジェール、フランス)

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