高齢化の進む山東省、医療と介護の連携状況を発表

(中国)

青島発

2023年08月07日

中国・山東省政府は728日、全国医養結合(注1)モデル省としての業務進捗状況を発表した。

山東省は、2022年末時点で60歳以上の高齢者人口が常住人口の22.1%(2,250万人)、65歳以上が16.7%(1,699万人)を占め、中国で最も高齢者人口が多い省となっている。中国政府は20182月、山東省を医養結合モデル省に指定し、同省は全国に先駆けて新たな政策を試行。発展の方向性や資金投入、人材支援、資源保障およびサービス管理などの重点分野において政策を強化し、省内各地での積極的なイノベーションを推奨・指導した。これによって、同省では既に65歳以上の高齢者全体の8割を超える1,364万人が医養結合サービスを受けている。

山東省は介護保険制度のサポートを強化しており、全国に先駆けて従業員向けの長期介護保険で省内全域をカバーすることを実現したほか、済南市や青島市、東営市などの省内12市が住民向けの長期介護保険の試行エリアに組み込まれ、同省の保険加入者数は全国1位(4,112万人)となった。

山東省は医療・介護関連の人材育成を強化するため、高等教育機関におけるリハビリや高齢者介護などの医療・介護・健康に関連する専攻の増設をサポートし、省内275校の高等教育機関が新たにこれらの専攻を設置した。また、省レベルの高齢者医学および医養結合の研修拠点を4カ所設立し、社区・在宅介護、医養結合に重点を置いた高齢者介護人材の育成に取り組んでいる。

そのほか、デジタル情報の活用を強化し、全国に先駆けて医療・介護・健康管理サービス・プラットフォームを構築し、既に高齢者1,894万人の情報がシステムに登録され、高齢者に提供されているヘルスケアサービスの状況を管理している。

2018年以降、山東省ではさまざまな効果的なサービスモデルが形成されており、その代表例として「在宅医療・介護、医療巡回診療」のサービスモデルが挙げられる。このモデルは、かかりつけ医契約サービス(注2)を通じて、長期介護保険制度や高齢者健康管理などを活用し、在宅高齢者へ訪問サービスなどを提供する。2022年末までに、省内65歳以上の高齢者における同サービスの契約締結率は86.3%に達した。

(注1)医療と高齢者介護の連携、一体化を指す。

(注2)一次医療衛生機関と契約することで、かかりつけ医との長期的かつ安定した契約関係を築き、基礎的な医療や公共衛生、健康管理などのサービスを受けることができる。

(董玥涵)

(中国)

ビジネス短信 571d66489a669d68