プノンペンで「衛星データを活用した農業・グリーンイノベーション」シンポジウム開催

(カンボジア)

プノンペン発

2023年08月17日

ジェトロは811日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共催で「衛星データを活用したカーボンニュートラル、持続可能な開発目標(SDGs)の実現、農業の生産性向上などの課題解決に向けたイノベーション」をテーマとしたネットワーキングシンポジウムをプノンペン市内のホテルで開催した。

シンポジウムには日本からJAXAをはじめ、シンスペクティブ、グリーンカーボン、天地人、サグリ、ヤンマー、日本工営、アスエネの8社・団体が参加した。それぞれが登壇し、カンボジアの宇宙・グリーン・農業などにかかる分野で活用が想定される自社の技術や事業を紹介した。シンポジウムは会場とオンラインで同時開催され、会場にはカンボジアの農業関連団体や財閥企業、政府機関などから200人以上が来場した。

開会あいさつで植野篤志駐カンボジア日本大使は「今回集まった日本企業は、衛星やAI(人工知能)を使ったデータ収集技術や、カーボンクレジット創出に関するビジネスモデルを紹介している。こうした革新的なビジネスがカンボジアの農業分野の効率化と収益性向上の原動力となり、カンボジアのグリーン分野への投資も推進してくれると信じている」とコメントした。

シンポジウム後に行われた交流会では、日カンボジア間で活発な意見交換が行われた。カンボジア農業団体などは、温室効果ガス排出量の見える化やカーボンクレジット創出・販売に関心を示したほか、政府機関などは洪水リスク測定技術にも注目していた。

参加したカンボジア農協会社(CACC)の会長は「特に排出権取引で農家の副収入増加を見込めることは、カンボジアの農業発展にとっても非常に有益で、興味深い。ただ、机上の理論どおりにうまくいくものでもないのが農業だ。プロジェクトを具体的に進めるに当たり、タイムラインや必要条件などを個別に詰めていきたい」と話した。

2023年は日カンボジア友好70周年、日ASEAN友好協力50周年に当たることから、日本とカンボジアは相互経済成長のため対等なパートナーとしての共創を目指しており、今回のイベントが共創実現に向けた先行プロジェクトにつながるきっかけとなることが期待される。

写真 シンポジウムの開会式(ジェトロ撮影)

シンポジウムの開会式(ジェトロ撮影)

写真 日本企業が衛星データを活用した最先端ビジネスを紹介(ジェトロ撮影)

日本企業が衛星データを活用した最先端ビジネスを紹介(ジェトロ撮影)

(藤田ゆか)

(カンボジア)

ビジネス短信 5170e03ebbff05c9