山東省、地熱エネルギーの開発・利用を促進

(中国)

青島発

2023年08月22日

中国山東省政府は8月7日、「地熱エネルギーの開発・利用への支援に関する若干の措置」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。措置は、地熱探査と適切な利用への支援、資源配分と審査認可サービスの最適化、科学技術に関する課題解決とプラットフォーム構築の奨励、用地などの要素保障の強化とコスト削減・効率向上、財政・税制面の支持と金融サービスの強化、普及の推進とモデル構築に関する指導など6つの方面から19項目を挙げ、地熱エネルギーの開発と利用を支援し、エネルギー構造を調整・最適化し、グリーン・低炭素分野の質の高い発展を目指す。

地熱の適切な利用への支援については、浅層地熱エネルギーを地中熱ヒートポンプ技術で利用し、水を採取しない場合には、取水と採鉱の許可を不要とした。中・深層地熱エネルギーの開発利用には、しっかりと地下水を保護するという前提で、熱を採取し水を採取しない地熱エネルギーのプロジェクトについては取水の許可を不要とした。

科学技術に関する課題解決の奨励では、中・深層地熱エネルギーの探査・開発、「地熱エネルギー+」という多種類のエネルギーを用いた相互補完方式、カスケード利用(注1)、使用済み地熱水の再注入などの重要技術の課題の解決を支援し、超長重力ヒートパイプ(注2)、相変化材料(注3)、高効率の熱抽出・熱交換技術などの重要技術設備の研究・活用を強化する。

また、炭素排出削減のパフォーマンス向上のため、地熱エネルギー利用プロジェクトで削減された炭素排出量を、省レベルの生態環境部門の審査・認定後に、新規「両高」(高エネルギー消費、高汚染物質排出)プロジェクトでの炭素排出分の代替源として、炭素排出指標の買い上げ範囲に組み入れることを支持する。

地熱エネルギーの活用では、都市開発区域内に建設されたプロジェクトや高速鉄道の駅、空港といった重点交通建設プロジェクトなどには、冷暖房供給の需要を踏まえ、その地の実情に合わせて「地熱エネルギー+」という多種類のエネルギーを用いた相互補完方式、カスケード利用を推進する。また、党や政府機関、公共機関では地熱エネルギーを使った冷暖房の利用を奨励する。

(注1)利用したことで品質が下がったものなどを別の用途に用いるなど、高レベルの利用から低レベルの利用へと、多段階(カスケード)に活用すること。

(注2)熱の移動効率を上げるための技術。

(注3)固体から液体、液体から固体に変化する際に熱を放出・吸収できる物質。

(董玥涵)

(中国)

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