米スタンフォード大学で日米イノベーション・アワード・シンポジウムが開催

(米国、日本)

サンフランシスコ発

2023年08月10日

日米の新興スタートアップを表彰する「第13日米イノベーション・アワード・シンポジウム」が7月20日、米国カリフォルニア州のスタンフォード大学で開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。同アワードは、北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティ(JSNC)とスタンフォード大学米国アジア技術経営センターの共催で2011年から毎年開催されており、今回のシンポジウムには300人以上が来場した。シンポジウムでは、新興リーダー賞の受賞企業2社とイノベーション・ショーケース企業5社が表彰された(注1)。

新興リーダー賞を受賞したトレジャーデータ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は顧客データを活用し、顧客体験の向上や業務効率化などを進めるツールを備えたデータクラウドを提供している。同社は2011年にシリコンバレーで創業し、2013年に日本国内での事業展開を本格化した。同じく新興リーダー賞を受賞したフィグマ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)は、ブラウザ上で共同編集できるデザイン設計のプラットフォームを提供している。同社は20223月に、アジアで初めての拠点となる日本法人を設立し、東京都にオフィスを構えている。

イノベーション・ショーケース企業には、Final Aim(本社:デラウェア州デラウェア)、リーガルオンテクノロジーズ(本社:東京都江東区)、スカイドライブ(本社:愛知県豊田市)、エレファンテック(本社:東京都中央区)、レコテック(本社:東京都千代田区)が選出された。

Final Aimは、ブロックチェーンを軸としたWeb3(注2)の技術を使用し、プラットフォーム「Final Chain」を提供している。これにより、スマートコントラクトなど分散型技術を必要とするデザイナーやメーカーが、製品の完全な知的財産権や真正性を確保する目的で使用することを促進している。同社の共同創業者の朝倉雅文最高経営責任者(CEO)と横井康秀最高デザイン責任者(CDO)は「米国ではデザインデータや知的財産権の意識が高いが、日本ではまだ限られているので、米国で事業を行っていることに手ごたえを感じている」と述べた。

リーガルオンテクノロジーズは、人工知能(AI)を活用し、弁護士など法律の専門家による契約審査業務を支援するソフトウエアを開発している。同社の田中宏和執行役員は「契約がより重視される米国で、当社の製品が広がる余地は存分にある。今回の受賞をきっかけに、米国での事業展開をさらに加速させていきたい」と話した。

スカイドライブは、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発し、2019年に日本初の有人飛行実験を行った。20221月に開催されたハイテク技術見本市「CES 2022」では、来場者が試乗可能なブースを出展し注目を集めた(2022年1月14日記事参照)。同社のエアモビリティ事業開発部長の中川賢治氏は「たくさんのイノベーティブな方と出会えて驚いている。まずは地域ニーズに基づき、最初の実用的なユースケース(使用事例)を整え、全米展開を目指していきたい」と意欲を示した。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

(注1)起業家や研究者など約40人の審査員による審査を経て選出された。新興リーダー賞では毎年、主要産業やバリューチェーンに変革をもたらし始めている急成長企業について、日本から1社、米国から1社を選出している。イノベーション・ショーケース企業では、100社を超えるノミネート企業の中から、世界的に大きな影響を与える可能性を秘めた新技術や革新的なビジネスアイデアを持つ、日本の優れた新興企業を最大5社選出している。

(注2)ブロックチェーン・コンピューティング・アーキテクチャを動力源とする、一連のオープンソースで相互接続された分散型アプリケーション。

(濱真奈)

(米国、日本)

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