ASEAN+3経済相会合、産業界はRCEP普及やQRコード決済、脱炭素化分野で提言

(ASEAN、日本、中国、韓国)

ジャカルタ発

2023年08月29日

第26回ASEAN+3(ASEAN10カ国と日本、中国、韓国)経済相会合が8月22日、インドネシアのスマランで開催された(共同メディア声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。インドネシアのジェリー・サンブアガ商業副大臣、日本の中谷真一経済産業副大臣、中国の李飛商務部副部長、韓国の安德根産業通商資源部交渉本部長が共同議長を務めた。

会合では、「ASEAN+3協力ワークプラン(ECWP)2023-2024」の進捗状況が確認され、中堅・中小企業の競争力強化や貿易円滑化、デジタル経済、グリーン経済などの12の分野における経済協力の成果が歓迎された。また、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)とASEAN事務局が実施した、中堅・中小企業のデジタル格差解消のための研究プロジェクトの完了が報告された。デジタル格差解消のためには、デジタルインフラと財務面の改善もさることながら、デジタルスキルと基本的なビジネス知識の両方を兼ね備えた人材を確保する必要があると結論付けられた。

また、ビジネス界からの報告として、東アジアビジネス協議会(EABC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、1年間の取り組みを紹介した。さらにEABCは、統一QRコード決済システムの越境利用を中心としたデジタル化の推進、サステナビリティに関連したキャパシティビルディングの実施などを柱とする提言を行った。ジェトロと日本商工会議所はEABCへの協力として、ASEAN+3(13カ国)の地場企業を対象にしたビジネス活動調査を例年行っており、ジェトロの信谷和重副理事長が2023年度調査の結果を報告した。報告では、原材料価格の高騰がビジネスに与える影響が大きいことや、脱炭素化に関する社内目標・制度を整備している企業が5割を超えることなどを説明した。地域的な包括的経済連携協定(RCEP)に関しては、75%の企業がRCEPを認識しているものの、実際の活用は22%にとどまることや、HSコード・原産地規則などの基本的な規則の情報提供強化の必要性などを指摘した。

EABCの提言に対し、インドネシア、フィリピン、日本、中国、韓国などから、歓迎する旨のコメントがあった。中谷経済産業副大臣は、ジェトロと日本商工会議所による調査の取り組みを評価したうえで、日本政府によるRCEP普及、脱炭素技術の普及・展開に向けた環境整備、統一QRコード決裁の相互利用開始に向けた取り組みを進めていくことが表明された。韓国の安産業通商資源部交渉本部長からは、EABCの取り組みを韓国政府として支援する旨の発言があった。

(尾崎航)

(ASEAN、日本、中国、韓国)

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