第2四半期のGDP成長率は2.9%、1年半ぶりの低水準
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年08月30日
マレーシア中央銀行と統計局は8月18日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前年同期比2.9%だったと発表した(添付資料表1参照)。3期連続で減速し、2021年第4四半期以来の低水準だった。減速した要因について、主に外需の低迷が重しになったことに加え、前年同期からの反動減による影響もあった、と中銀は指摘した。
需要項目別では、政府消費が報酬・給与支出の増加により前年同期比3.8%増と前期の2.2%減からプラスに転じたほか、民間投資は5.1%増(前期:4.7%増)、公共投資は7.9%増(5.7%増)と、ともに伸びが拡大した(添付資料表1、図参照)。
他方、GDPの6割を占める個人消費が4.3%増と前期の5.9%増から減速した。世界のテクノロジー業界不況による需要低迷が響いたことで、純輸出も前期の54.4%増から3.7%減とマイナスに転じた。
産業別にみると、主にサービス業および建設業が経済成長に寄与した(添付資料表2参照)。ただし、GDPの6割弱を占めるサービス業が、前年同期比4.7%増と前期の7.3%増からさらに減速した。中銀によると、消費者およびビジネス関連のサービスが鈍化した。他方、観光支出が引き続き成長を後押しした。製造業は0.1%増(前期:3.2%増)だった。電子機器や精製石油製品の生産低迷が影響したとみられる。建設業は6.2%増(7.4%増)と減速したものの、大型インフラ整備案件の進捗などが下支えした。一方、鉱業・採石は工場メンテナンスなどによる石油・ガスの生産量減少を受け2.3%減(2.4%増)、農業は猛暑による減産で1.1%減(1.0%増)とともにマイナスに転じ、振るわなかった。
通年の見通しで中銀はやや悲観的な姿勢に変化
7月1日に就任した、中銀のアブドゥル・ラシード・ガフォール新総裁は「マレーシアの成長見通しにおいては、予想よりも世界経済が減速しており、主な下振れリスクとなる一方、好調な観光や投資案件の迅速な実施などが経済を牽引する要因となる」と指摘した。2023年通年の経済見通しについて、中銀は従来の予測である4.0~5.0%を据え置いたものの、この範囲の下限寄りの成長率になるのではないかとし、やや悲観的な見方を示した。なお、マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所は、内需が引き続き経済成長を支えると見込み、前回予測した4.2%に見通しを据え置いた。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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