UNCTAD報告、アフリカは重要鉱物の埋蔵量が多く、再エネ投資も増加

(アフリカ、コンゴ民主共和国、エジプト、南アフリカ共和国、モロッコ)

調査部中東アフリカ課

2023年08月22日

国連貿易開発会議(UNCTAD)は8月16日、「アフリカの経済開発報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、アフリカの自動車、再生可能エネルギー、サプライチェーンなどの現状と今後の見通しを示した。

特に電気自動車(EV)に利用されるクリティカルミネラル(重要鉱物)の需要が伸びている中、アフリカの埋蔵量の世界シェアは高い。世界のマンガン埋蔵量約15億トンのうち、南アフリカ共和国が6億4,000万トンを占める。スマートフォンバッテリーなどにも利用されるコバルトの世界の埋蔵量は760万トンで、コンゴ民主共和国が350万トンと約46%を占める。重要鉱物のほかにも、アルミニウムなどの原材料もアフリカで産出される。

【アフリカ全体のEVに関連する重要鉱物の埋蔵量の世界シェア】

  • コバルト:48.1%
  • マンガン:47.6%
  • 天然グラファイト:21.6%
  • 銅:5.9%
  • ニッケル5.6%

一方、同報告書では、アフリカの港湾、道路、鉄道などへの投資が遅れており、国際的なサプライチェーンに組み込まれるには、物流インフラへの投資が必要と指摘する。サプライチェーンに関するファイナンスは、2022年に世界で2兆1,890億ドルだったが、アフリカではわずか410億ドルだった。同分野へのファイナンス促進には、アフリカの制度上の課題、高リスク、信用情報の不足などに対する改善が求められる。

また、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が進展すれば、関税引き下げによって域内貿易を促進し、サプライチェーンの強化につながると指摘する。アフリカでは6割以上が25歳以下と若年層が多く、世界の中でも人口増加が著しい。消費市場のみならず、将来的には製造や原材料供給の拠点として可能性があるという。

アフリカでは再生可能エネルギー分野への投資も急拡大しており、エジプト、モロッコ、南アなどでソーラーパネルも製造しているという。このほか、アフリカで水素や再エネなどのエネルギーを生産し、アフリカ域外に供給するプロジェクトも進行中だ。

(井澤壌士)

(アフリカ、コンゴ民主共和国、エジプト、南アフリカ共和国、モロッコ)

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