輸入EVのVAT免除を検討、電動バイク補助金の支給拡大も示唆

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年08月07日

インドネシアのアグス・・グミワン・カルタサスミタ工業相は7月31日、競争力強化を目的として、完成車で輸入される電気自動車(EV)を対象とした付加価値税(VAT)の免除を検討していることを明らかにした(「コンタン」7月31日)。EVに関しては現在、財務大臣規定2023年6号に基づき、国産化率40%を超える特定のEVの購入に対して、VATを通常の11%から10ポイント減免し、1%とすると規定されている(2023年4月6日記事参照)。

現在、インドネシアの市場で販売されているEVで上記の条件を満たす車種は、韓国・現代自動車の「Ioniq5」と中国・上汽通用五菱汽車(SGMW)の「Air EV」の2車種のみとなるが、輸入完成車もVAT減免の対象となった場合、EV市場のさらなる拡大が期待される。

同相は、財務省などが詳細を協議中だとしたが、EVの開発促進に関する大統領規定2019年第55号を改正し、電動車の税優遇のための原材料・部品の現地調達率(TKDN)を2024年には60%に引き上げるとしていた点について、2026年まで猶予する方針であることも明らかにした。

電動二輪にかかる補助金も支給対象拡大を検討

バフリル・ラハダリア投資相は7月31日、電動二輪向けの購入にかかる補助金利用率が低いため、政府が支給対象の範囲拡大を検討していることを明らかにした(「アンタラ」8月1日)。電動二輪向けの補助金は、2023年3月に施行された電動バイクの購入支援策に関する工業大臣規定2023年6号に基づき、電動バイクの購入に対して1台当たり700万ルピア(約6万1,600円、1ルピア=約0.0088円)の支援金が支給される旨が定められていた。

しかし、同補助金の適用対象者は国民事業融資(KUR)や生産的支援策(BPUM)の対象となる零細中小事業者、賃金補助の受給者など、受給対象は実質的に低所得者層に限られていたことなどから補助金申請は十分に進んでおらず、2023年の補助金支給枠20万台のうち、補助金申請台数は8月4日時点で1,230台(注)だった。

(注)電動二輪の購入補助金申請状況については、特設サイト「Sisapira外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」において確認が可能。

(八木沼洋文)

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