輸入通関時の構成化学物質の申告義務、10月1日から施行

(インド)

ムンバイ発

2023年08月29日

インド財務省間接税関税中央委員会(CBIC)は、特定製品の輸入に際して税関申告書(Bill of Entry:BOE)へ構成化学物質のIUPAC名およびCAS登録番号(注)の記載を義務化したが、その施行日を当初予定していた2023年7月1日から同年10月1日に延期した。なお当該義務化については、2023年6月7日に通告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)されている。

対象となる輸入品は、HSコードが28類、29類、32類、38類および39類の製品だ。

  • 第28類:無機化学品および貴金属、希土類金属、放射性元素または同位元素の無機または有機の化合物
  • 第29類:有機化学品
  • 第32類:なめしエキス、染色エキス、タンニンおよびその誘導体、染料、顔料その他の着色料、ペイント、ワニス、パテその他のマスチックならびにインキ
  • 第38類:各種の化学工業生産品
  • 第39類:プラスチックおよびその製品

10月1日以降、これらのHSコードに当たる製品をインドへ輸入する場合には、BOEに構成化学物質のIUPAC名およびCAS登録番号の記載がないと輸入通関手続きができなくなる。税関申告書内の記載場所は指定されていないが、記載様式は6月7日付通告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の4ページ目に例示されている。

製品の構成化学物質は営業秘密となる場合もある。ジェトロではこれらの情報の記載が必須であるのか、複数回にわたって税関担当者に問い合わせを行っているが、回答は得られていない。そのため、本規制は通告どおりに10月1日から施行されると想定され、関連製品を扱う企業は対応が必須となる。

CBICは今回のルール導入について、通関審査時の問い合わせ削減および遅延改善が目的だとしている。一方で、インド政府は「メーク・イン・インディア」政策を推進する中、外国製品輸入の抑制を目的に規制を強化する動きが見られることから、今回の新ルールもその一環と捉えることもできる。

(注)IUPAC名は、国際純正・応用科学連合(IUPAC)が定める命名法に沿った化合物の名称。CAS登録番号は、世界的に利用されている個々の化学物質に固有の識別番号。

(丸山春花)

(インド)

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