第2四半期GDP成長率は前年同期比1.8%、2023年の成長率予測を下方修正

(タイ)

バンコク発

2023年08月28日

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は8月15日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前年同期比1.8%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだったと公表した(添付資料表参照)。個人消費の加速が牽引したものの、民間投資やサービス輸出は鈍化し、財輸出や政府消費は縮小した。結果として、2023年第1四半期(1~3月)の2.6%から鈍化し、ロイターの事前予測調査(3.1%)を大きく下回る結果となった。季節調整済み前期比も0.2%(年率換算約0.8%)で、2023年第1四半期(1~3月)の1.9%(同約7.0%)から顕著に鈍化した。

2023年第2四半期の実質GDP成長率(前年同期比)を需要項目別でみると、個人消費支出は7.8%で、前期(5.8%)から加速した。宿泊施設、飲食サービスは49.1%となり、前期(97.1%)から鈍化したものの、高い伸び率を維持した。また、自動車購入が10.8%と前期(4.1%)から拡大したことなどから、耐久財消費は3.2%となり、前期(2.4%)から伸張した。

総固定資本形成は0.4%(前期3.1%)と減速した。民間投資が前期(2.6%)から1.0%と鈍化したことが要因。機械・設備投資が0.8%で、前期(2.8%)から縮小したことが影響した。

輸出の成長率は0.7%と、前期の2.1%から縮小した。サービス輸出は54.6%と引き続き好調な一方で、前期(78.2%)から鈍化した。財輸出はマイナス5.7%と前期(マイナス6.4%)に続いて縮小した。農産物輸出では、ゴムの輸出が減少した。製造品輸出では、タイの主要輸出品目のHDDに取って代わるSSDへの需要が高まっていることから、HDDの輸出が減少している。その他、パーム油、エアコン、鉄・金属、石油化学製品などでも縮小がみられた。

2023年上半期(1~6月、H1)のGDP成長率は2.2%で、個人消費が前年同期比6.8%、総固定資本形成が1.8%、輸出が1.4%、輸入はマイナス1.7%減だった。総じて、外国人観光客数の増加によるサービス輸出の増加、好調な個人消費が牽引役となり、伸び悩む財輸出を補っている状況だ。

なお、2023年のGDP成長率は2.5~3.0%と予測し、前回予測(2.7~3.7%)から下方修正した。

(藤田豊)

(タイ)

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