上半期の輸出入、世界需要低迷でともマイナスに
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年08月09日
マレーシア統計局は7月27日、2023年1~6月の貿易総額が前年同期比4.6%減の1兆2,880億1,700万リンギ(約39兆9,285億円、1リンギ=約31円)だったと発表した(添付資料表1参照)。輸出額は7,032億7,000万リンギ、輸入額は5,847億4,600万リンギで、伸び率がともにマイナスに転じた。貿易収支も3.6%減の1,185億2,400万リンギと前年同期を下回った。
輸出を品目別にみると、全体の4割を占める電気・電子製品が2,868億リンギで、前年同期比で1.7%増加した(添付資料表2参照)。うち、同品目の半分を占めた集積回路が0.9%増の1,469億リンギに微増した。電気・電子製品が引き続きプラス成長を記録したものの、前年同期の32.4%増から1.7%増と、伸び率が大きく低下したことが分かる。次いで、精製石油製品が21.6%増の691億リンギ、パーム油・同製品が29.4%減の501億リンギ、液化天然ガス(LNG)が5.8%増の305億リンギ、専門・科学・制御機器および装置が1.6%増の243億リンギだった。統計局によると、パーム油・同製品は、輸出量が増加したにもかかわらず、輸出単価が大幅に下落した影響で減少を記録した。
国・地域別にみると、輸出では、シンガポールが前年同期比7.8%増の1,145億リンギで、依然として首位だった(添付資料表3参照)。次いで、中国(8.8%減の921億リンギ)、米国(2.2%減の776億リンギ)、香港(0.9%増の439億リンギ)、日本(5.3%減の437億リンギ)が続いた。中国、米国、日本への輸出減が顕著だった。統計局によると、中国向けでは、特に鉄鋼製品、電気・電子製品、パーム油・関連製品の輸出が減少した。米国向けの輸出減は、木材製品やゴム製品の出荷量減少が原因だった。日本向け輸出減少は、金属製品、パーム油製品、木材製品に対する需要低迷によるものだった。
輸入では、中国が5.2%減の1,237億リンギで首位だった。シンガポールが3.3%増の668億リンギ、台湾が11.9%減の420億リンギ、米国が10.2%減の408億リンギ、日本が8.0%減の367億リンギと続いた。
四半期ごとの輸出増減率をみると、全ての国・地域の寄与度がマイナスに転じ、特にASEANとEUが全体を押し下げた(添付資料図参照)。
マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所は、上半期の貿易が振るわなかったことから、2023年通年の輸出伸び率は3.4%減、輸入は1.9%減と、いずれもマイナスになると見込んでいる。5月中旬に下方修正した予測値は据え置いた。欧米など先進国市場の需要低迷や、地政学的緊張の継続、中国の景気回復の遅れ、インフレの持続的な上昇、世界経済が予想以上に減速していることを貿易見通しの下振れリスクとして指摘した。こうした外的要因が輸出に対する足かせとなる一方で、国内支出の増加と持続的な内需拡大がマレーシア経済の成長を後押しすると、同研究所は楽観的見通しも示した。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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