アルゼンチン大統領予備選、ハビエル・ミレイ氏率いる右派政党「自由前進」の政策提言

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年08月15日

8月13日に実施されたアルゼンチン大統領予備選挙ではハビエル・ミレイ候補が率いる右派政党「自由前進」(LLA)が、大統領候補については第3勢力と目された「自由前進」(LLA)のハビエル・ミレイ候補が事前予想を覆すかたちで躍進し、最も多くの票を集めた。 LLAは、マーケットフレンドリーな自由経済政策を掲げるものの、ドル化や中央銀行の廃止など、実現可能性が疑問視される提案も含まれている。

LLAが選挙管理委員会に提出した政策提案をみると、経済政策については、非生産的な国家支出の削減、通貨交換の自由あるいはドル化(注1)、年金改革(年金制度の民営化)、連邦共同参画(生産の分配を国家が調整すること)の廃止、アルゼンチン航空、国政石油会社YPFなど赤字国営企業の民営化、輸出入税の撤廃、輸出促進のための税制優遇、資本取引規制の撤廃、中央銀行の廃止、労働改革、技術開発・知識産業の促進、再生可能エネルギー促進、石油・ガス、リチウムへの投資奨励などを掲げている。

マーケットフレンドリーな自由経済政策を掲げるLLAは、今回の予備選挙で国会議員の数でも躍進し、上院3州、下院11州で最も多くの票を集めた。8月14日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)によると、今回の結果がそのまま10月に行われる総選挙に反映されれば、LLAは上院で8議席、下院で41議席を確保することになる(注2)。LLAは野党連合「変革のために共に」(JxC)から10議席、与党連合「祖国のための同盟」(UP)から26議席を奪い、その結果、JxCは下院で106議席、UPは92議席となる。国会議員の上院定数は72議席で、任期は6年。2年ごとに3分の1が改選されるため、今回は8州24議席が改選の対象となった。下院の定数は257議席で任期は4年。2年ごとに約半数が改選されるため、今回は全州の計130議席が改選の対象となった。

(注1)米ドルの法定通貨化。

(注2)連合を組むブエノスアイレス州知事候補のカロリーナ・ピパロ下院議員を加えた場合の数。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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