現職のミルジヨエフ大統領が圧勝、長期政権へ布石

(ウズベキスタン)

タシケント発

2023年07月12日

ウズベキスタンで7月9日に大統領選挙が実施され、翌10日午前11時時点の中央選挙委員会の開票速報によると、現職大統領のシャフカト・ミルジヨエフ氏が87.05%の得票率で勝利した。投票率は79.88%、投票者数は1,565万人だった。任期は2030年まで。

ウズベキスタンの政治学者ファルホド・タリポフ氏は、現職大統領の対立候補の知名度のなさから、選挙の結果は明らかだったと述べている(「ラジオ・アザティック」7月10日)。今回のミルジヨエフ氏の得票率は、2021年に行われた前回大統領選挙の得票率80.12%を上回っている。

ロシアの中東・中央アジア専門家アレクサンドル・クニャゼフ氏は、今回の選挙はミルジヨエフ大統領が新憲法下で大統領任期を5年から7年に延ばしただけでなく(2023年5月10日記事参照)、国民に不人気の改革・政策を今後実施するための信任を得る目的があると指摘している(「イズベスチヤ」7月10日)。

6月19日に発表されたミルジヨエフ氏の選挙公約(注)では、2030年までにGDPを倍増させ、1,600億ドルにまで引き上げることや、1人当たりGDPを現在の2,200ドルから4,000ドルに引き上げることなどを掲げている。指標達成のため、金生産量を1.5倍、銀生産量を3倍、銅生産量を3.5倍、ウラン生産量を3倍に増やすほか、銀行の民営化プロセスを加速させて最低4つの外資系銀行を参入させることや、鉄道・道路の建設・管理、ガス・電力供給の民間移管、エネルギー分野の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率の40%へ引き上げ、WTO加盟への努力継続、輸出額を2030年までに2倍の450億ドル、ITサービス輸出は50億ドルに増やすこと、民間航空分野の改革、数年間の所得税・売上税・付加価値税・固定資産税率の凍結、灌漑節水技術の全面導入、都市ゴミのリサイクル率の引き上げなどを政策として挙げている。

(注)ウズベキスタン自由民主党ウェブサイトで閲覧できる(ロシア語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン)

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