ネパール投資セミナー開催、日本からの投資歓迎、ジェトロも共催

(ネパール、日本)

調査部アジア大洋州課

2023年07月03日

国連工業開発機関(UNIDO)東京事務所と在日ネパール大使館は6月29日、ネパール投資庁のスシル・バッタ長官の訪日を機に、「ネパール投資セミナー」をジェトロと共催した。主催者によると、160人を超える出席者があり、同長官による講演のほか、ネパール連邦議会のアルジュ・ラナ・デウバ下院議員、国際協力機構(JICA)などの関係者や進出企業などが同国の魅力を語った。広く知られている観光資源に加えて、水力発電を中心とするエネルギー産業、ITアウトソーシングを支える人材の豊富さなどを強調した。

デウバ下院議員は、ネパールの新憲法に基づく現政体の安定性の上に1990年代から実施している経済開発計画(現在は第15次)などに触れ、また、インドと中国という大国に挟まれた同国の立地は世界最大規模の市場につながると強調した。さらに、ネパールは外資に向けて開いており、外国人・企業でも土地の所有が可能なことや、同国で上げた利益の国外送金は100%保証されることなどを説明し、あらためて日本からの投資を呼びかけた。

バッタ長官は、ネパール投資庁が投資誘致に際して担う役割や、これまでに計38件の総額95億ドルの投資案件が承認され、うち32億6,000万ドルの案件が実施中と説明した。JICAがネパール国内のインフラ開発や研修生の日本派遣に協力していることにも言及した。また、ネパールには中小企業が多いため、日本からはこうした企業をパートナーとしてこれまでの同国にないような産業分野への投資を期待し、そのための協力を惜しまないとコメントした。

同セミナーを共催したジェトロからは、南西アジアを所管する仲條一哉理事が閉会あいさつを行った。「ネパールはほぼ全ての分野で100%の外国資本が認められており、外資が参入しやすい。ネパールへの社会貢献や新しい価値を考えた際に、日本企業が貢献できる分野がまだまだあるのではないか。UNIDOやJICAなどの関連機関と協働し、ジェトロとしても協力したい」と締めくくった。

写真 講演するネパール投資庁のスシル・バッタ長官(ジェトロ撮影)

講演するネパール投資庁のスシル・バッタ長官(ジェトロ撮影)

写真 あいさつする仲條一哉ジェトロ理事(ジェトロ撮影)

あいさつする仲條一哉ジェトロ理事(ジェトロ撮影)

(河野将史、寺島かほる)

(ネパール、日本)

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