中国、自動車市場の公平な競争環境維持を強調

(中国)

上海発

2023年07月14日

中国・上海市嘉定区の上海汽車会展中心では757日、国際水素燃料電池自動車会議(FCVC)が開催され、展示エリア2万平方メートルの展示会場に300社を超える出展があり、3日間で前年の40%増となる25,000人以上が来場した。会場では、乗用車や商用車、建設機械などに使用される水素燃料電池や水素タンク、関連部品などの展示が多くなされた。

商用車用の水素燃料電池の展示も多い中、トヨタ、ホンダやその他外資自動車メーカーの乗用車向け燃料電池や、中国メーカーの重塑能源集団(REFIRE)や捷氫科技(SHPT)などによる最新の燃料電池の展示もあり、多くの注目を集めていた。

写真 水素燃料電池トラックの展示(ジェトロ撮影)

水素燃料電池トラックの展示(ジェトロ撮影)

写真 トヨタ展示ブース(ジェトロ撮影)

トヨタ展示ブース(ジェトロ撮影)

また、同時に、中国自動車工業協会(CAAM)主催の中国自動車フォーラムが開催された。同フォーラムで7月6日午前に開催された公開サミットでは、工業情報化部装備工業一司の苗長興一級監査官が講演を行った。講演では、中国の自動車産業は新たな段階に入ったとし、市場の競争環境を維持することが重要であり、多くの企業が市場規範を守り、非正常な価格によって公平な競争環境を阻害しないこと、恣意(しい)的な価格の引き下げを行わないこと、などを提案した。また、CAAMの付炳鋒副会長兼秘書長は、中国の自動車製造のグローバル分業のリスク、過剰な生産能力の顕在化や需給バランスの逸脱、資源確保におけるリスクがあるとし、業界で共通の問題を解決し産業の安全性を確保すること、企業では技術の内製化を実施し、長期的に良質ブランドを構築するべきだと発言した。

同サミットにおいては、工業情報化部、中国機械工業連合会、中国自動車工業協会の共同の立ち会いの下、比亜迪(BYD)やテスラを含む16社(注)の主要な自動車メーカーのトップが共同で「自動車業界の公平な市場秩序維持に関する承諾書」に署名した。承諾書では、次の内容で合意した。

  1. 規則順守を堅持する。市場規範を順守し、公平な競争秩序を維持し、非正常な価格で公平な競争環境を乱さない。
  2. 宣伝方法を注視し、過大広告や虚偽宣伝を実施しない。
  3. 品質を第一に考え、高品質の製品・サービスを通じて、人々の生活向上に資するものとする。
  4. 社会主義核心価値観を推進し、社会的責任、安定成長やリスク防止などにおいて積極的な役割を担い、国民経済の成長に貢献することを合意した。

ただし、同承諾書の「非正常な価格において市場の公平な競争秩序を乱さない」とする条項に関し、「価格」への言及は独禁法の精神に反するとして、7月8日に取り消された。

(注)第一汽車、東風汽車、重慶長安汽車、上海汽車、北京汽車、広州汽車、中国重型汽車、奇瑞汽車、安徽江淮汽車(JAC)、浙江吉利汽車、長城汽車、比亜迪汽車(BYD)、蔚来汽車(NIO)、北京車和家情報技術、広州小鵬(Xpeng)、テスラ。

(神野可奈子)

(中国)

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