閣議が2024年1月からのユーロ5実施に向け工業省令を承認、ユーロ6への対応も命じる
(タイ)
バンコク発
2023年07月24日
タイのアヌチャ・ナカサイ首相府相兼工業相代理は7月6日、ディーゼルエンジンまたはガソリンエンジンを搭載した小型ディーゼル車および大型車(ピックアップトラック、バス、トラックなど)に、ユーロ5に基づく排出ガス規制を2024年1月1日以降に実施するための3省令案について、6月27日の閣議で承認されことを明らかにした。
閣議決定を受け、アヌチャ工業相代理は、特定の自動車にユーロ5排出基準を課す以下の3省令に署名した。これらの省令は7月3日の官報に掲載された。
- TIS3018-2563に基づく小型圧縮点火エンジン車のタイ工業規格を規定する省令(2023年6月29日付)
- TIS3043-2563に基づく天然ガスまたは液化石油ガスを燃料とする火花点火エンジンを搭載した大型自動車のタイ工業規格に関する省令(2023年6月29日付)
- TIS3046-2563に基づく圧縮点火エンジンを搭載した大型自動車のタイ工業規格に関する省令(2023年6月29日付)
ユーロ6実施に向けた計画の策定を促す
また、内閣は工業省に対して、大気汚染(特にPM2.5)に対応し、長期的に国の環境課題に取り組むため、新車にユーロ6基準を課す計画を早急にまとめるよう指示した。タイ工業規格局(TISI)に対しては、事業計画に影響なく、事業者がライセンスを申請・取得し、省令に順守した運用実施に向けて準備できるよう、ライセンス取得手続きの円滑化措置を講ずるよう命じた。また、汚染排出を最小化するエンジンの開発という、世界的なトレンドに追随できるように、タイの自動車業界を先導するようを求めた。
ナッタポン・ランシットポン工業省次官によると、タイをASEANにおける現代的な自動車生産ハブとするためには、新車に対するユーロ6排出基準の施行を急ぐ必要があるという。TISIは、2025年1月1日からまず小型エンジン車に、次いで2026年には全てのタイプの自動車に、ユーロ6排出基準を課すことを計画している。
TISIによれば、ライセンス発行については、ユーロ6基準の施行を見据えて対策してきた。ライセンス申請と取得を簡便にするため、TISIは適合性評価の部分について規則を改正し、ユーロ6基準の適合性評価の試験報告書は、より低いレベルのユーロ排出基準(ユーロ5基準など)の申請にも使用可能とした。TISIは2月8日から、工場の品質管理システムの評価と、適用されるタイ工業規格(TIS)に対する自動車製品の評価を行うため、「電子ライセンスシステム」を開始した。同システムの開始以来、ユーロ5に準拠した工場審査と車両評価の申請件数は、以下のとおりだ。
- 小型ディーゼル車(TIS3018-2563対象):工場審査(製造業者4件)、車両評価(製造業者6件、輸入業者1件)
- 大型天然ガス車(TIS3043-2563対象):0件
- 大型ディーゼル車(TIS3046-2563対象):工場審査(製造業者1件、輸入業者5件)、車両評価(製造業者3件、輸入業者4件)
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
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