上海市、越境ECの発展促進のための行動方案を発表

(中国)

上海発

2023年07月27日

上海市商務委員会、上海税関、上海市税務局、中国人民銀行上海支店、国家外貨管理局上海市分局は7月20日、「上海市越境ECの質の高い発展を促進する行動方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2023~2025年)」を発表した。中国(上海)越境EC総合試験区の建設を深化させ、越境EC(電子商取引)の質の高い発展を促し、対外貿易の安定と質の向上を促進することを目的としており、2025年までの目標や具体的な取り組みなどが掲げられている。

2025年までの目標として、世界的に影響力を持つ越境EC企業やプラットフォームを集積させ、専門サービス機構を育成・誘致し、運営・物流・マーケティング・決済・融資などのサービスを強化するとした。また、越境ECに関連する公共サービスを向上させ、通関・税務・外国為替などの管理を最適化し、世界トップクラスの越境ECビジネス環境を構築するとしている。

目標の実現に向けた具体的な取り組みとして、次のことが挙げられた。

  1. 越境EC分野のトップ企業が上海市で拠点を設立することを奨励する。海外進出に取り組む越境EC企業に対し、海外での商標登録や特許出願をサポートする。また、越境EC企業を上海市対外貿易重点企業とすることを推奨し、通関、税制、外貨管理などにおいて優遇政策を享受できるようにする。
  2. ウェブサイト運営、ソフトウエア開発、国際物流、クロスボーダー決済など越境EC関連サービスの企業育成に力を入れる。また、越境EC企業が中欧班列を利用することを推奨するほか、海運、空運を含む越境EC物流総合サービスプラットフォームの構築など、物流の効率を高める。
  3. 海外倉庫の建設を強化する。越境EC企業が「一帯一路」沿線国やRCEP(地域的な包括的経済連携)協定加盟国、欧米各国などで海外倉庫を建設することを奨励する。海外倉庫を通じて、陳列、物流、アフターサービスを一体化した海外ネットワークを整備することを奨励する。
  4. 通関の利便性を向上する。税関のオンライン受付窓口を増設し、貨物の通関スピードを速める。また、模範的な越境EC企業の検査比率を下げ、購入した輸入商品の返品の利便性を高める。
  5. 越境EC企業の国際人材の導入を優遇する。越境EC企業と中国国際輸入博覧会の連携を奨励し、国際交流を推進する。

上海市政府によると、2023年上半期(1~6月)の上海市における越境EC貿易額は、前年同期比84%増の1,419.6億元(約2兆8,392億円、1元=約20円)だった。上海市の企業が海外で建設した倉庫は138拠点、面積は179万平方メートルに達しており、上海市の越境EC産業は急速に発展している。

(宋青青)

(中国)

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