米アマゾン、生体認証サービス「アマゾン・ワン」をホールフーズの全店舗に導入へ

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月27日

米国アマゾンは720日、同社傘下で大手食品スーパーマーケットのホールフーズで試験的に導入していた、手のひらを使う生体認証サービス「アマゾン・ワン」を全店舗に導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アマゾン・ワンは2023年末までに、500を超える全米の店舗に導入される。

アマゾン・ワンは、個人を特定するに当たって、手のひらの形と静脈パターンの両方を読み取ることによって、「手のひら署名」と呼ばれる生体認証データを生成する。アマゾン・ワンを初めて利用する人は、クレジットカードまたはデビットカード、アマゾンのアカウント、携帯電話番号を使用して事前にオンライン登録を行い、その上で店舗の専用端末に手のひらをかざすことで、登録手続きを完了させる。その後の買い物は、手のひらをかざすだけで決済できる仕組みとなっている。

アマゾン・ワンは、20209月にレジなし店舗「アマゾン・ゴー」に導入されて以降、200以上のホールフーズ店舗のほか、空港やスポーツスタジアムなど米国内の400カ所に導入されている。アマゾン・ワンの利用者数は300万人超に上るという(「ギーク・ワイヤ」720日)。

生体認証の利用が徐々に広まる一方で、収集された生体認証データに関する利用者の安全を懸念する声も上がっている。アマゾン・ワンが普及し始めた20218月には、エイミー・クロブチャー上院議員(民主党、ミネソタ州、競争政策・反トラスト・消費者権利小委員会委員長)を含む3人の上院議員がアマゾンに書簡を送り、利用者のプライバシーと健全な競争について懸念を表明した。3人の上院議員は「アマゾンが顧客の生体認証データを使用して競争力をさらに強化し、さまざまな市場での競争を抑制する可能性がある」と指摘していた(ロイター2021814日)。

なお、アマゾンは今回の発表の中で、アマゾン・ワンを通じて収集した利用者の生体認証データについて、複数のセキュリティー制御によって保護されており、マーケティング目的で利用されることはなく、外部にも販売しない、と主張している。

(樫葉さくら)

(米国)

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