ヘルシンキでスタートアップイベント「Arctic15」開催、参加者の交流を重視

(フィンランド)

ロンドン発

2023年07月14日

フィンランドのヘルシンキで6月1~2日、スタートアップのマッチングイベント「Arctic15」が開催された。

例年、世界60カ国から約1,500人が参加、うち49%がスタートアップ、26%が投資家、8%が企業とされている。同イベントでは、脱ユニコーン化が掲げられ、「現実の問題を解決するための現実的なビジネス」を重要視している。同じくヘルシンキで開催されるスラッシュに比べると会場は小規模だが、より緊密な交流がしやすいといえる。主催者からも、イベント中の参加者のつながりを重視しているとのコメントがあった。

通常の面談のほか、SaaS(サービスとしてのソフトウエア)、ディープテック、AI(人工知能)、保健、女性起業家、Web3などの分野ごとにミートアップが行われた。

メインステージでは、資金調達以降も成功し続けるスタートアップの秘訣(ひけつ)について、フィンランドのデジタル広告スタートアップのスマートリー(Smartly.io)の創設者、クリスト・オバスカ氏によるアドバイスなどが行われた。2019年に、プロビデンス・エクイティ・パートナーズが同社の株式の過半数を取得した。また、投資家による講演も行われ、スタートアップに求めるものなど、各分野のトレンドなどについて解説があった。そのほか、実践的な参加型ワークショップも多数実施された。

イベントでは、15万ユーロ以上の資金をかけたコンテストも行われた。180超のスタートアップが応募、その中から15社が会場でピッチを行い、複数の投資家による審査が行われた。うち、AIを活用しユーザーが使用するグーグルドライブなどのツールを統合した内部検索エンジンを提供するクルー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、感染性創傷治療に適した抗菌性ナノテクノロジーを提供するナノルディカ・メディカル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、木材に似た方向強度を持ち、軽量、無害でリサイクル可能なセルロース系フォームを開発・製造するウォミー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが上位3社となった。優勝したクルーの共同創設者サミ・アブザリファ氏にジェトロが話を聞いたところ、「Arctic15は素晴らしかった。さまざまな業界の優れた人とつながることができた。ピッチイベントで180社超と競い合い、1位を獲得できたことをとてもうれしく思う」とコメントした。

写真 イベントの様子(ジェトロ撮影)

イベントの様子(ジェトロ撮影)

(エルカザーニ・小百合・アミナ、半井麻美)

(フィンランド)

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