2023世界人工知能大会が開催、生成AI技術に注目が高まる

(中国)

上海発

2023年07月14日

2023世界人工知能大会(WAIC)が768日、中国・上海世界博覧中心で開催された。同大会は2018年に開催して以来、6回目の開催となった。展示面積は過去最大の5万平方メートルに達し、出展企業は400社以上にのぼった。展示製品は大規模言語モデル、半導体チップ、ロボット、自動運転など多岐にわたった。

写真 (写真左)会場入り口の様子、(写真右)会場の様子(ジェトロ撮影)

(写真左)会場入り口の様子、(写真右)会場の様子(ジェトロ撮影)

上海市共産党委員会の陳吉寧書記は開会あいさつで、「人工知能(AI)は速いスピードで発展しており、新たな科学技術革命と産業変革を牽引している」「上海市はアルゴリズムの革新や、半導体チップの研究開発、計算能力の向上およびコーパス(注1)の構築に全力で支援し、競争力のある産業集積地を構築する」と述べた。また、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は動画であいさつし、人工知能技術の発展に伴い、2023年末には完全自動運転が実現されるだろうと予測し、「自動運転の技術を共有し、他の自動車メーカーに技術の使用を許可するつもりだ」と表明した(「新民晩報」76日)。

対話型AIChatGPT」が全世界で流行する中、多くの出展企業では大規模言語モデルやマルチモーダルモデルなどの生成AI技術を展示していた。商湯科技(センスタイム)の「日日新(Sense Nova)」、百度の「文心一言(ERNIE Bot)(注2)」、科大訊飛(アイフライテック)の「訊飛星火(IFLYTEK SPARK)」、ファーウェイの「盤古Chat」、アリババの「通義千問(Tongyi Qianwen)」など数多くの生成AIが注目を集めた。教育、医療、オフィス業務、自動車、金融、工業など幅広い分野での活用が期待される。

写真 (写真左)科大訊飛のブース、(写真右)百度のブース(ジェトロ撮影)

(写真左)科大訊飛のブース、(写真右)百度のブース(ジェトロ撮影)

大会では、中国科学技術情報研究所がまとめた「2022世界人工知能イノベーション指数報告」が発表された。本指数は、各国を人材、教育、特許、イノベーション制度などの分野で点数付け、各分野の得点を基に人工知能イノベーション指数を算出し、指数ごとに4階層に分類した(添付資料表参照)。結果は、第1階層(50点以上)は米国と中国の2カ国、第2階層(35~50点)は英国、ドイツ、日本など11カ国、第3階層(20~35点)はデンマーク、フィンランドなど12カ国、第4階層(20点以下)はブラジル、ベトナム、ロシアなど21カ国となった。

(注1)コーパス(Corpus)とは、言語学において統計的な分析や研究を行う目的で集められ構築された言語テキストの集合体。

(注2)中国のITメディアプラットフォーム・極客邦科技が運営する「InfoQ」が行った、大規模言語モデルの能力を評価する研究によると、百度のERNIE Botは米国OpenAIの ChatGPTに次いで2位となっており、中国の大規模言語モデルの中ではトップになった。

(宋青青)

(中国)

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