6州の議会選挙を8月12日に実施、政権の試金石に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年07月06日

マレーシア選挙管理委員会(EC)は7月5日、セランゴール州など6州の州議会選挙を8月12日に行うと発表した。告示は7月29日、期日前投票は8月8日に行う。登録有権者数は約977万人で、セランゴール州が370万人超と最も多い。

州議会選を実施するのは、2022年11月に連邦議会下院との同時解散を見送ったセランゴール(6月23日解散、56議席)、ペナン(同6月28日、40議席)、ネグリ・センビラン(7月1日、36議席)、ケダ(6月28日、36議席)、クランタン(6月22日、45議席)、トレンガヌ(6月28日、32議席)の6州で、計245議席を争う。憲法に基づいて議会解散後60日以内に選挙を行う必要があり、解散に先立って6州の首相は州議会選の同時実施を決めていた。

アンワル政権下で初の州選挙、統一政府への信任問う

6州のうち、セランゴール、ペナン、ネグリ・センビランは、解散前は希望連盟(PH)が州政権を担っていた。ケダ、クランタン、トレンガヌは、野党連合・国民同盟(PN)に属する保守系野党の全マレーシア・イスラム党(PAS)が率いていた。2022年の連邦議会下院総選挙では、PASが第1党となった一方で、過半数議席を獲得した政党連合がなく、党派を越えた多党連立政権ができあがった経緯がある(2022年11月24日記事参照)。この総選挙以降、アンワル政権下では初の州議会選挙だ。実質的に「統一政府」による政権運営への評価を有権者に問う場となる。

アンワル首相は7月4日、「(与党が握っていた)3州を維持しつつ、残り3州のうち2州を野党から奪取できる可能性がある」と述べた。ベルナマ通信によると、PHの主力政党の人民正義党(PKR)のラフィジ・ラムリ副総裁(経済相)も、セランゴール、ペナン、ネグリ・センビランでは過半数を維持できるとの見通しを示した。

経済への影響について、エコノミストからは、州議会選が投資家心理に水を差す可能性も指摘される。フィッチ・ソリューションズは「州議会選の結果や政党間の対立動向によっては、制度改革が遅れる恐れがある」との懸念を示した。マレーシア経済研究所(MIER)のシャンカラン・ナンビア上級研究員も、通貨安は世界的な現象とする一方で、「州議会選挙も(通貨)リンギ安の一因かもしれない」「投資家心理は慎重に管理する必要がある」と述べた。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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