米アマゾン、1億2,000万ドル投じフロリダ州に宇宙関連施設を建設へ

(米国)

アトランタ発

2023年07月26日

米国のアマゾンとフロリダ州の宇宙開発支援機関スペース・フロリダは7月21日、フロリダ州のケネディ宇宙センターで、1億2,000万ドルを投じて衛星処理施設を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新施設は、スペース・フロリダの発射・着陸施設に建設される。

新施設は、ロケットと衛星を結合するなど、打ち上げの最終準備に利用される。敷地面積は10万平方フィート(9,290平方メートル)で、高さ100フィート(30.48メートル)のクリーンルームを備えており、重量が大きい新型ロケットにも対応可能となる予定だ。今回の新施設建設はスペース・フロリダとのパートナーシップの「宇宙港改善プログラム」に端を発している。フロリダ州運輸省とスペース・フロリダは、2022年に航空宇宙分野の企業誘致のため、同プログラムの一環として1マイル(1.6キロ)の回廊を整備しており、アマゾンは同回廊に入居する初めての企業となる(「ビジネス・ジャーナルズ」7月23日)。

アマゾンは、低軌道にある3,236基の衛星コンステレーション(注1)を通じて、世界のブロードバンドアクセスの拡大を目指すイニシアチブ「プロジェクト・カイパー」に2018年から取り組んでいる。同社は既に民間の宇宙関連企業3社(注2)から最大83回分の打ち上げを確保しており、2023年中に試作の衛星を2機打ち上げる予定だ。2024年末までの通信サービス提供開始を目指している。

アマゾンのカイパー・プロダクション・オペレーションズのスティーブ・メテヤー副社長は「フロリダ州をはじめ、米国で成長する宇宙産業を強化するために、スペース・フロリダと提携できることを誇りに思う」と述べた。また、スペース・フロリダのフランク・ディベロ社長兼最高経営責任者(CEO)は「アマゾンのプロジェクト・カイパーのペイロード施設をフロリダ州に迎えられることは、航空宇宙分野のサプライチェーン全体でのフロリダ州のエコシステムの力を証明している。フロリダ州ではロケット打ち上げやペイロード処理の黎明(れいめい)期から数十年にわたるインフラ投資や資本投資が行われており、航空宇宙経済の世界的な中心地となっている」と述べた。

(注1)中・低軌道に打ち上げた多数の小型非静止衛星を連携させて一体的に運用する仕組み。

(注2)アリアンスペース、ブルーオリジン、ユナイテット・ローンチ・アライアンスの3社。

(檀野浩規)

(米国)

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