6月の物価上昇率はやや減速も、年率は5カ月連続で100%超え

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年07月28日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は7月13日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は全国平均値で前月比6.0%増だったと発表した。CPI上昇率は2カ月連続で減速したものの、高止まりしている。前年同月比(年率)では115.6%増と5カ月連続で100%を超えた(添付資料図参照)。1~6月累計の物価上昇率は50.7%に達した。

前月比の伸び率を6月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは1.8%増で、4月の12.6%、5月の6.0%に比べて大きく落ち着いた。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは7.2%増、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は6.5%増と、こちらも前月に比べてやや落ち着いた。

前月比の伸び率を費目別にみると、上昇率が高かったのは、通信の10.5%増、医療・健康の8.6%増、住宅・光熱・その他燃料の8.1%増、家財道具・住宅管理の8.0%増だった(添付資料表1参照)。INDECによると、インターネットや通話料金、医薬品、医療保険サービス、電気料金の値上げなどがこれらの伸びに大きく影響した。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は4.1%増で、直近20カ月で最も低い水準だったが、砂糖(前月比33.9%増)、マテ茶(16.6%増)、米(12.7%増)などは大幅に値上がりした。年率でみると、全費目のCPI上昇率が100%を上回った。

ジェトロが7月17日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)でも、砂糖が前月比37.5%増と大幅な上昇が確認された。前年同月の価格と比較すると、砂糖は3.7倍、鶏卵は3.4倍、小麦粉は2.8倍だった。これらの価格を公式為替レートでドルに換算すると、年率では減少した品目も多いが、砂糖は80.1%増、鶏卵は63.1%増、小麦粉は33.9%増と価格が大幅に上昇した。

7月以降のCPI上昇率の見通しについて、民間エコノミストらは再び加速すると予測している(7月27日付現地紙「ペルフィル」電子版)。政府は7月24日、外貨流出防止を目的とした輸入抑制のため、輸入代金の支払いに必要な外貨購入に「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税」(通称パイス税)の課税を開始した(2023年7月26日記事参照)。これに為替市場が揺れ動いており、7月21日の非公式為替レートは1ドル=528ペソ、24日は552ペソまで急落した。その後、530ペソ台まで戻したが、27日には再び550ペソまで下落した。民間エコノミストらは、こうした動きが8月のCPI上昇率に影響するとみている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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