6月の乗用車販売は前年同月比1.6%増、成長続くも鈍化

(インド)

ベンガルール発

2023年07月24日

インド自動車工業会(SIAM)は7月12日、2023年6月の自動車統計(出荷ベース)を発表した。乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕の国内販売台数は、前年同月比1.6%増の28万252台(添付資料表1参照)となり、2022年5月以降14カ月連続のプラス成長を記録しているものの、単月での増加幅はなだらかになってきているかたちだ。なお、表1の数字には含まれないが、タタ・モータースの乗用車販売台数を加えると、6月単月の乗用車販売台数は32万7,487台に上る(注)。自動車販売全体(乗用車、二輪車、三輪車)では、前年同月比3.3%増の166万4,144台だった。

SIAMのラジェシュ・メノン事務局長は「2023年度第1四半期(2023年4~6月)の乗用車販売台数は、前年同期比9.4%と過去最高を記録し、乗用車は暦年上半期(2023年1~6月)で初めて200万台を超えた。二輪車も今四半期は前年同期比11.2%の伸びを記録したが、まだ2016年度の水準は下回っている」とした。また、ビノド・アガルワル会長は「第1四半期はすべてのセグメントで好調に推移したものの、一部の貨物運搬用商用車やモペッドといったサブセグメントでは前年同期比で若干の落ち込みがみられた」と分析し、「モンスーンの降雨量が適度なものになると期待されており、インフレ率の低下も相まって経済成長が続き、自動車セクターにもプラスに働くだろう。高金利は依然として懸念材料だ」とコメントした。

メーカー別乗用車販売(添付資料表2参照)では、首位のマルチ・スズキは13万3,027台で前年同月比8.4%増、韓国の現代は2.0%増の5万1台、地場のマヒンドラ&マヒンドラは21.2%増と大きく伸ばし3万2,588台、トヨタ・キルロスカが8.6%増の1万7,919台と、シェア上位メーカーはおおむね増加傾向だが、起亜は19.3%減の1万9,391台と減少した。ほかの日系メーカーでは、新車種の販売時期が近いことなども影響して、ホンダが35.2%減の5,080台、日産が27.4%減の2,552台と減少傾向だ。なお、地場のタタ・モータースは、同社発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると電気自動車(EV)を含め4万7,235台(前年同月比5%増)を販売し、変わらず3位につけたもようだ。

車種別でみると、一般乗用車では、スズキのコンパクトモデル(「スイフト」「ワゴンR」など計6万4,471台)、同ミニモデル(「アルト」など計1万4,054台)、現代のコンパクトモデル(「i20」など計1万7,390台)などの販売台数上位は変わらずだが、いずれも前年同月より販売台数は減少した。他方、UVでは、スズキのコンパクトUV(「ブレッツァ」など)が計2万1,640台で前年同月比4.9倍、同スポーツ用多目的車(SUV)(「グランドビターラ」など)が70%増の1万8,908台と販売台数を大きく伸ばした。また、マヒンドラ&マヒンドラのコンパクトUV(「ボレロ」など計1万8,467台)、同SUV(「スコーピオ」など計1万4,118台)といった売れ筋車種も引き続き増加傾向だ。

6月単月の二輪車販売は、前年同月比1.7%増の133万826台だった(添付資料「表1 2023年6月の部門別自動車の国内販売台数」、「表3 2023年6月の主要メーカー別二輪車国内販売台数」参照)。主要部門のオートバイは前年同月比6.9%増の90万8,954台と増加した一方、スクーターは8.1%減の38万7,373台、モペッドは7.9%減の3万4,499台と減少した。

(注)タタ・モータースの販売台数は単月の乗用車販売台数のみ公開。自動車販売台数全体およびセグメント別、メーカー別、車種別、二輪車、三輪車統計には含まれない。

(松田かなえ)

(インド)

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