タイ税関、輸入BEV部品の関税免除にかかる規則・手続きの詳細を発表

(タイ)

バンコク発

2023年07月03日

タイ税関は6月16日、バッテリー駆動の電気自動車(BEV)・電気船舶の部品の関税免除にかかる5月16日付財務省通達(2023年6月19日記事参照)に基づき、企業が特権適用を要求する際の規則・手続きを定めた通達(第97/2566号)を発出した。有効期間は5月26日から2025年12月31日まで。

既報のとおり、輸入部品はタイ自動車協会(TAI)からBEV・電気船舶の製造・組立部品として認証を受けたもので、輸入日から1年以内に使用する必要がある(最長6カ月の延長が可能)。また、輸入者は、以下の補助資料を添えて申請書を税関に事前提出し、原則的に承認を得る必要がある(3~6は輸入する度に必要)。

  1. 輸入者がBEV・電気船舶の製造業者である場合:初回輸入時、タイ工業省発行の証明書〔工場許可証やタイ工業団地公社(IEAT)製造許可証など〕、製造方式(Production Formula)、年間最大生産能力、年間使用予定の輸入部品数量、工程表(Process Chart)を提出。
  2. 輸入者がBEV・電気船舶の部品・構成部品の製造業者である場合:初回輸入時、タイ工業省発行の証明書、顧客情報(BEV・電気船舶の製造業者)を含む販売契約書、製造方式、年間最大生産能力、年間使用予定の輸入部品数量、BEV・電気船舶の部品・構成部品の組立・製造において輸入部品が使用されることを示す工程表、組立・製造された部品・構成部品が顧客へ納品される経路を提出。
  3. 輸入者が貿易業者の場合:輸入する度、顧客情報(BEV・電気船舶の製造業者)を含む販売契約書、輸入部品が顧客へ納入される経路を提出。
  4. 当該輸入部品から組立・製造されるBEV・電気船舶のモデル詳細(組立マニュアル、部品カタログを含む)・技術仕様・画像、輸入部品リスト(部品番号順または部品名のアルファベット順に列挙)、輸入部品の使用数量、当該BEV・電気船舶の現地製造部品・構成部品リスト、現地製造部品・構成部品の製造業者からの発注書/見積書、当該現地製造部品・構成部品の工程表。
  5. 輸入部品・構成部品のインボイス(CIF/FOB建て)
  6. 輸入部品・構成部品が指定期間内にBEV・電気船舶の組立・製造に使用され、提供した情報がすべて真正であることを宣誓する自己証明書(違反した場合は税関通知受領日から15日以内に未納税額、罰金、手数料、損害賠償などを支払い、営業時間内であれば何時でも税関検査を受ける責任を負う)

通常、申請書と補助資料の提出日から15営業日以内に、輸入者も原則的な承認が付与され、輸入申告書に記載する認可番号が付与される。承認待ちの輸入者であれば、輸入通関時に通常の関税で支払いつつ、関税還付請求権を留保することも可能。

輸入者は、原則として3カ月ごとに、承認を付与した税関に対し、所定様式に基づき、製品の製造・納品活動を報告する義務を負う。全関連記録(製造の各段階における輸入部品の使用状況、未使用部品在庫など)を税関が確認できるようにしなければならない。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

ビジネス短信 4e4607212e7dcc7e