米大統領輸出評議会がバイデン政権下で初開催、レモンド商務長官「国家輸出戦略」発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月03日

輸出促進などに関して米国大統領に助言を行う大統領輸出評議会(PEC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは6月29日、バイデン政権下で初めての会合を開催し、2件の提言を採択した。PECの開催は、オバマ政権時の2016年以来7年ぶり。ジョー・バイデン大統領が指名した民間企業や労働組合の代表者に加え、ジーナ・レモンド商務長官ら政府高官が参加した(注)。

レモンド長官は、開会あいさつで「多くの人が貿易(の重要性)に疑問を抱いている」と述べ、「貿易は良いことで、必要不可欠なものだと示すこと」がPECの役目だと強調した。メンバーに対し「私と同様に、われわれを世界から切り離すことはできず貿易は雇用を支えているが、(貿易における)労働と環境も考慮しなければならない、と信じているのであれば、このグループはこれまで以上に重要なものになる」と呼びかけた。

PECが採択した1つ目の提言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、イノベーションと技術に焦点を当てたものとなる。貿易相手国に関与し、標準化に関わる非関税障壁に対処するよう促した。サービス貿易を拡大するため、他国と安全な越境データ流通を確保する取り決めを結ぶことが重要と記した。新興技術の規制を巡り、輸出管理措置が意図しない結果を生まないか検討する小委員会をPECに復活させることも提案した。

2つ目の提言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、貿易円滑化に関する省庁間の取り組みを調整する新たな戦略の策定を求めた。具体的には、税関手続きのデジタル化を含む優先事項を定め、インド太平洋経済枠組み(IPEF)などの協定で、強制力のある規定を交渉すべきとした。

商務省は2023年5月に実質妥結したIPEFのサプライチェーン協定を支援するため、レモンド長官がPECによるIPEF参加国へのミッション派遣に参加すると発表している(2023年5月29日記事参照)。同長官は会合の最後に、2024年前半に自らがミッションを率いる計画を明らかにし、「米国で雇用を創出するためにインド太平洋地域でのさらなるビジネス機会を探る」と説いた。

レモンド長官、「2023年国家輸出戦略」発表

レモンド長官は会合で、輸出促進や輸出金融の実行計画をまとめた「2023年国家輸出戦略(NES)」も発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NESは、米国経済における輸出の役割などを概観した上で、クリーンエネルギーや製造業など7分野で米国政府が企業向けに提供する輸出促進プログラムなどを説明している。また、中小事業者やこれまで支援が不十分だった層への支援策に特化した章も設けている。

(注)バイデン大統領は2021年9月、PECの2023年9月までの継続などを定めた大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名し、2023年2月にPECのメンバーとして、民間企業や労働組合、学術界の代表者ら25人を指名すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(甲斐野裕之)

(米国)

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