上半期の貿易、輸出入ともに前年同期比2桁減

(台湾)

調査部中国北アジア課

2023年07月21日

台湾財政部が7月7日に発表した貿易統計(速報)によると、2023年上半期(1~6月)の輸出は前年同期比18.0%減の2,021億900万ドルだった。輸入は20.0%減の1,756億5,100万ドルで、上半期の貿易収支は264億5,800万ドルの黒字となった(添付資料「表1 主要国・地域別輸出入」、「表2 主要品目別輸出入」参照)。

国・地域別にみると、輸出では、主要国・地域向けで軒並み減少した。最大の輸出先の中国向けは、電子部品の輸出減を受け、28.9%減となった。そのほか、香港、ASEAN、米国も約20%から15%の減少だった。

輸入では、国際原材料価格の下落とメーカーの保守的な購買意欲の影響で、香港を除く主要国・地域で軒並み減少した。

輸出を品目別(注)にみると、電子部品(15.3%減)が減少に大きく寄与した。このほか、卑金属および同製品(26.8%減)、プラスチック・ゴムおよび同製品(30.7%減)、化学工業品(28.2%減)などが3割前後減少した。

輸入でも、電子部品の減少(28.9%減)が大きく影響したほか、鉱産品(21.3%)も減少した。

財政部は輸出入ともに減少した背景として、インフレと利上げの影響を受けた世界経済の低迷、メーカーによる継続的な在庫調整や製品価格の下落などを挙げた。今後の見通しについては、高性能コンピューティング(HPC:High-Performance Computing)やデータセンター、車載用電子機器などの新興・デジタル領域の需要は引き続き拡大しており、関連の最終製品への集積回路組み入れも増加するとしている。それに加え、今後、新製品の仕入れや年末商戦に向けた輸出拡大が本格化し始めることなどを踏まえ、下半期の台湾の輸出の勢いは維持すると分析している。他方、世界的なインフレ圧力の高まりや金利引き上げ、ロシア・ウクライナ戦争の膠着(こうちゃく)状況や米中間の科学技術競争などの下押し要因を注視する必要があると指摘した。

(注)HSコード改正(HS2022)に伴い、「光学器材」に分類されていた輸出品目の一部が6月から「情報通信機器」になった。また、「光学器材」の範囲が拡大され、「光学および精密機器」に名称変更された。

(富永笑美子)

(台湾)

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