消費者信頼感指数が調査開始以来2番目の低水準、経済先行きの不安反映

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2023年07月12日

南アフリカ共和国の経済調査局(BER)とファーストナショナルバンク(FNB)は6月29日、2023年第2四半期(4~6月)の消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index:CCI)がマイナス25ポイントに低下したと発表した。調査が始まった1994年以来2番目に低い数値となった。

CCIは国の経済見通しと家計に対する消費者の不安を示すもので、南アではシリル・ラマポーザ大統領が当選した時期〔2018年第1四半期(1~3月)〕に記録した26ポイントが過去最高値、新型コロナウイルス感染拡大期間中のロックダウン時期(2020年第2四半期)のマイナス36ポイントが過去最低値だ。今回、CCIの3つのサブインデックス(経済見通し、家計見通し、耐久消費財を購入する時期の妥当性)の全てがマイナスに落ち込んだ。

BERの報告によると、低迷の要因はロシアのウクライナ侵攻による経済的影響、燃料や食品価格の高騰、金利上昇、証券取引所の株価低迷などが消費者の不安を深めているとしている。また、通貨ランド安、政府の外交への懸念、電力不足が特に高所得世帯〔月収2万ランド(約15万円、1ランド=約7.5円)〕以上の不信感に大きく影響したと分析した。

高所得世帯の指数は、第1四半期のマイナス31からマイナス40ポイントに、全ての所得階層の中で最も落ち込んだ。BERによると、高所得世帯は南ア経済の先行きを懸念しており、特に耐久消費財を購入する時期の妥当性は全ての所得階層の中で最も悲観的だった。高所得世帯は深刻化する計画停電への対応として、太陽光発電やバッテリー発電などの代替電力源に投資している一方、住宅ローンや自動車ローンなどの金利上昇の影響を強く受けている。高所得世帯が購入する新車や輸入食品などは、通貨ランド安により価格が押し上げられており、可処分所得を圧迫し始めている。

同様に、低・中所得世帯の消費意欲も減退しているが、中所得世帯がマイナス22ポイント(前期比マイナス1ポイント)、低所得世帯はマイナス16ポイント(同プラス1ポイント)と高所得世帯と比べて落ち込みは少なかった。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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