下院3選挙区で補選実施、保守党は1選挙区確保も、2選挙区で大敗

(英国)

ロンドン発

2023年07月24日

英国で7月20日、下院の3選挙区で補欠選挙が行われ、ロンドン西部のアックスブリッジ・サウスライスリップ選挙区で保守党、イングランド北部ヨークシャーのセルビー・エインスティ選挙区で労働党、中部サマートン・フルーム選挙区で自由民主党の候補者が勝利した。2010年の総選挙で自由民主党が勝利したサマートン・フルームを除き、いずれの選挙区も2010年から2019年の計4度の総選挙で保守党が勝利してきた。しかし、調査会社ユーガブが7月10~11日に実施した調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、次回の総選挙の投票先として保守党と回答した割合は25%と、43%の労働党と比較して低調だ。さらに、今回の補欠選挙は、6月に議員を辞職したボリス・ジョンソン元首相の選挙区アックスブリッジ・サウスライスリップを含め、保守党議員の辞職によるもの。リシ・スナク首相も苦戦を予想していたと報じられていた(「ガーディアン」7月20日)。

こうした状況下でのアックスブリッジ・サウスライスリップでの勝利について、スナク首相は「次回の総選挙での労働党の勝利は『既成事実』ではない」とコメント。

3選挙区での全敗は防いだものの、同選挙区での前回7,000票差の勝利から今回は約500票差と、僅差の勝利だった。また、同区での保守党の勝利の背景として、ロンドン市長で労働党のサディク・カーン市長が掲げる「超低排出ゾーン(ULEZ)」の拡大(2022年12月14日記事参照)への反対があったとも指摘されている。労働党のキア・スターマー党首もBBC(7月21日付)の取材に対し、ULEZが労働党の同区での敗北理由として、カーン氏も含めて党として反省しなければならないとコメントした。

ほかの2区については、2019年の総選挙で保守党が約2万票差で大勝した選挙区だったが、今回はセルビー・エインスティで約4,000票差、サマートン・フルームで約1万票差での大敗となった。労働党のスターマー党首はセルビー・エインスティでの勝利演説で「人々は変化を望んで投票した」と述べ、「われわれはそうした人々の声を聞く」と語った。自由民主党のエド・デイビー党首はサマートン・フルームでの勝利演説で、人々は保守党に嫌気がさしており、その結果、さまざまな背景の有権者が自由民主党に期待して票を投じたと述べた。

(山田恭之)

(英国)

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