イスラエルのハイテク企業、政府の司法改革推進に反発

(イスラエル)

テルアビブ発

2023年07月18日

イスラエルでは、国会にあたるクネセトが7月11日未明に政治家の議決の妥当性を最高裁判所が審査することを阻止する法案を第一読会で承認したことを受け、国内で大規模なデモ(2023年7月12日記事参照)が行われている。イスラエルの経済成長を牽引してきたハイテクセクターでも同法案に対する反発が高まっている。

7月11日にイスラエル全土で行われたデモには、イスラエルのハイテク企業で構成される抗議グループのメンバーも参加、同グループのリンクトイン・グループの登録者数は1万人を超えている。7月18日には11日を上回る規模でのデモが予定されている。

イスラエル現地紙「カルカリスト」(7月6日)によると、世界で最初にSASE(Secure Access Service Edge、サシー)プラットフォームの提供を開始したケイトネットワークス (Cato Networks)の最高経営責任者(CEO)であり、チェック・ポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ(Check Point Software Technologies)およびインパーバ(Imperva)の共同創業者であるシュロモ・クレイマー氏は、従業員宛ての電子メールで、同法案は同社の成功にとって有害だとの懸念を表明した。クレーマー氏は同メールの中で、自社の従業員が司法改革に対するデモに参加する権利を支持し、デモへの参加により有給休暇が引かれることはないと述べた。

ほかにも、多くのハイテク企業経営者が、抗議行動を行うことを促している。具体的には、クムラ・キャピタル(Qumra Capital)のマネージング・パートナーであるエレズ・シャハー氏、カルトゥーラ(Kaltura)の共同創業者兼社長であるミハエル・ツアー氏、ファイバー(Fiverr)の創業者兼CEOであるミカ・カウフマン氏らが挙げられる(「カルカリスト」7月10日)。

イスラエル・イノベーション庁の最新レポートでも、外国人投資家の懸念の高まりなど、司法改革がハイテク産業に与える影響が指摘されている(2023年7月3日記事参照)。

(アリサ・ノスキン、太田敏正)

(イスラエル)

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