不完全現地組立車(IKD)の輸入税を14%に低減、トヨタは新車種生産へ

(アルゼンチン、メルコスール)

ブエノスアイレス発

2023年06月26日

アルゼンチン政府は6月15日、政令310/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、分解された未完成の自動車(不完全現地組立車:IKD)の輸入に関する新制度を導入した。IKDを輸入して国産自動車部品を組み付けて完成車を生産する場合、一定の条件を満たすことでメルコスール域外からのIKDに対する輸入税を14%に低減する。新制度は、新規生産車種の導入や現時点では生産規模が小さく原産地比率が低い自動車セグメントの成長を促すとともに、輸出を増やすことを目指している。

新制度の適用を受けるには、監督官庁である経済省工業生産・開発庁から生産プロジェクトについて承認を受けなければならない。国内に製造拠点を持つこと、同庁が定める貿易収支の設定値と指針を順守することが最低条件となっている。承認の有効期間は最大5年で、1度に限り延長が可能。プロジェクトの最初の2年間の原産地比率は10%、3年目、4年目は12%、5年目は15%を達成しなければならない。原産地比率は、アルゼンチン自動車部品産業の開発と強化制度法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(法律27263号)第12条a項が定める以下の数式で求められる。

{国産部品の総和額(Σ)/輸入部品のCIF総和額(Σ)+国産部品の総和額(Σ)}×100

制度の適用を受けると、メルコスール対外共通関税分類番号(NCM)8702、8704に該当するメルコスール域外原産品のIKDを低関税(14%)で輸入することができる。制度の適用を受けない場合は35%の関税が課される。

トヨタ・アルゼンチンと工業生産・開発庁によると、トヨタ・アルゼンチンは新制度の適用を受けて、国内とブラジル市場向けに商用車ハイエースの生産を2024年1月に開始する(2023年6月12日付トヨタ・アルゼンチン公式プレスリリース)。生産するのはハイエースL2H2とハイエースコミューターの2種類で、当初の生産台数は年間4,000台、中期的に1万台を目指す。投資額は5,000万ドルとしている。トヨタ・アルゼンチンは現在、ピックアップトラックのハイラックスとSUV(スポーツ用多目的車)のSW4を生産しており、ハイエースはそれに続く3つ目の生産車種となる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、メルコスール)

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