7月1日から一部の電気料金を値上げ

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年06月20日

コートジボワール政府は、202367日付鉱山・石油・エネルギー省令0644/MMPE/MEF/MBPE号で電気料金の改定を発表した。契約アンペア(A)数が15A以上の低圧電気料金は10%、業務用の中高圧電気料金は15%引き上げられる。改定後の料金は71日から適用される。

電気料金は、用途や時間帯で価格設定が異なり、今回の改定で一般家庭用電気小売料金(低圧電力、15A以上、付加価値税込み)は、1キロワット時(kWh)当たり使用量別に75.33CFAフラン(約17円、1CFAフラン=約0.23円)と86.92CFAフランになる。業務用の中高圧電力では、1kWh当たり62.98CFAフランから140.34CFAフランの間で価格設定される。なお、電気契約の89%を占める5A10Aの電気料金については、社会的弱者を保護し、生活への影響を抑えるため、据え置くとしている。

商業・産業・中小企業振興省は、15%の電気料金の値上げで、鉄筋コンクリートやセメント、砂糖の工場出荷価格が0.752.4%値上がりし、さらにこれらの製品と、パーム油、冷凍魚などを中心に消費者物価指数(CPI)が0.65%~3.03%押し上げられると推計している。ジェトロは当地で、電気代が製品コストに大きな割合を占めるセメントや鉄鋼メーカーなどにヒアリングをしたところ、ほぼ全ての企業が生産コストの上昇に伴う取引価格への転嫁を余儀なくされると答えた。

コートジボワールの電力部門は、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受けて、採算の悪化が深刻だ。現状では、電気の平均小売価格が73CFAフラン/kWhに対して、平均発電コストは89CFAフラン/kWhとなっており、2023年だけで1,610CFAフランの営業損失が発生すると試算されている。政府は今回の改定により、電力部門の営業損失が通年で、760CFAフラン減少するとみている。

コートジボワールでは、過去10年間に国内の4,168地域が電化され、電力普及率は2011年の33%から2022年には83%と飛躍的に向上した。電力契約口数は2011年の110万口から2022年には360万口と3倍になっている。政府は、2022年現在2,548メガワット(㎿)の発電設備容量を2030年までに5,000MWまで引き上げ、そのうち再生可能エネルギー(水力発電を含む)の割合を現在の34.5%から45%にすることを目標に掲げている。

なお、コートジボワールは、ガーナ、マリ、ベナン、ブルキナファソ、ギニア、リベリア、シエラレオネなど、複数の西アフリカ諸国に電気を供給している。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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