米環境保護庁、2023~2025年の再生可能燃料混合基準の最終規則を発表、eRIN導入は見送り
(米国)
ニューヨーク発
2023年06月22日
米国環境保護庁(EPA)は6月21日、再生可能燃料混合基準制度(RFS)について、2023~2025年の混合基準量の最終規則を発表した。
大気浄化法に基づいて2006年に導入されたRFSは、製油業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料にエタノールなどバイオ燃料の一定量の混合を義務付けており、製油業者は自身に割り当てられた混合量を達成するか、達成できない場合などは再生可能識別番号(RIN)と呼ばれる市場で取引可能なクレジットの購入を求められる。
最終規則の発表に先立って、2022年12月に2023~2025年の基準案が公表されていた(2023年12月2日記事参照)。今回の最終規則で、バイオ燃料の混合総量は2023年に209億4,000万ガロン(基準案時点で208億2,000万ガロン、1ガロン=約3.8リットル)、2024年に215億4,000万ガロン(同218億7,000万ガロン)、2025年に223億3,000万ガロン(同226億8,000万ガロン)と定められた。2023年のみ2022年12月の基準案時点から増加したが、3カ年では減少した。なお、電気自動車(EV)がバイオ燃料由来の電力を使って充電することで、自動車メーカーがeRINと呼ばれるクレジットを生成できるようにするという仕組みについては、今回採用を見送った。
EPAによると、今回の最終規則によって、2023~2025年の石油輸入量は年間13万~14万バレル減少すると見込まれる。これにより、毎年1億7,300万~21億9,200万ドルの調達費用が節約されるとしている。
EPAはRFS目標を総枠で引き下げたかたちだ。他方、バイオ燃料の業界団体のグロースエナジーはEPA発表同日の6月21日、「EPAによる今回の決定は、議会が定めた方向性に逆行しており、現政権の気候変動目標に向けた前進を不必要に遅らせるものだ」との声明を発表した。エタノールやバイオ燃料の生産者を中心に、一部の関係者からは批判の声が上がっている。
(宮野慶太)
(米国)
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