米財務省、ミャンマーの国営銀行2行と国防省に制裁
(米国、ミャンマー、ロシア)
ニューヨーク発
2023年06月22日
米国財務省は6月21日、ミャンマー国営銀行のミャンマー外国貿易銀行(MFTB)とミャンマー投資商業銀行(MCIB)、それに同国国防省を金融制裁の対象である「特別指定国民(SDN)」に指定したと公表した。
財務省によると、SDNに指定した2行は、ミャンマー国軍による外国からの武器や関連資材の購入を可能にしていた。取引相手には米国が制裁を科しているロシアの事業体も含まれており、ミャンマー国軍は当該事業体から武器、デュアルユース製品、装備品、兵器製造のための原材料を購入していたという。SDNに指定された場合、在米資産の凍結や、米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。財務省は併せて、経過措置として一般許可(General License)5号を公表した、これにより、MFTB、MCIBおよび2行が50%以上を所有する事業体と取引がある場合、その清算に通常必要なものに限って、米国東部時間8月5日午前0時1分まで許可するとしている。
アントニー・ブリンケン国務長官は制裁発動に当たっての声明で、MFTBとMCIBは、国有企業が国外の口座を利用して国際市場にアクセスすることを容易にし、政権が軍事目的で利用するための相当な資金源を提供していたと指摘している。また同長官は、同盟・友好国と協調して、ミャンマーの軍事政権が国際金融システムから資金を調達し、暴力行為や危機を継続することを抑え込むと同時に、同政権がロシアの防衛産業に国際決済通貨(ハードカレンシー)を送金することも制限していくと締めくくっている。なお、2021年2月以降、米国がミャンマーに発動した主な制裁は添付資料を参照。
(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。
(注2)SDN指定を受けた個人が直接・間接的に50%以上を所有する事業体も同じく制裁の対象。ただし、財務省が2021年3月25日に発行し、現在も効力を有する2種類の一般許可(General License)に該当する取引・活動は、それらが指定する要件の下で認められる。一般許可の内容は財務省のミャンマー制裁のページ内のGENERAL LICENSESの項目を参照。
(磯部真一)
(米国、ミャンマー、ロシア)
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