広東省、5月の過去最高気温を記録、華南5省の電力負荷や使用量は大幅増の見通し

(中国)

広州発

2023年06月08日

中国の広東省気象局は、5月29日から同省の広い範囲で高温が続いていることを受け、翌30日午後5時に高温注意報(注1)を発表した。同局によると、30日には同省にある半数以上の気象観測所が5月の過去最高気温を記録し、10の区・県が赤色の高温注意報、77の区・県がオレンジ色の高温注意報を発表した。

広東省などに電力を供給する中国南方電網(注2)の5月23日の発表によると、最高気温が30度を超えた場合、気温が1度上がるごとに、電力負荷は300万~450万キロワット(kW)高くなるという。22日には南方電力網の最大電力負荷が2023年に入って初めて2億kWを突破した。このうち、深セン市の最大電力負荷は前年同期比8.3%増加の1,900万kW超えだった。また、23日発表時点で広東省、広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省など華南地域の5省・自治区の5月の電力負荷や電力使用量は、前年同期比で大幅に増加すると予測されていた。

「西電東送」(注3)の拠点の雲南省は降雨量減少の影響を受け、1~4月の水力発電量が前年同期から11.4%減少した。昆明電力交易センターが5月17日に発表した「雲南電力交易月報(5月)」によると、2023年第1四半期(1~3月)の雲南省から広東省への送電量は前年同期比33.4%減の100億2,200万キロワット時(kWh)だった。

こうした中、福建省発展改革委員会、広東省発展改革委員会、国家電網福建省電力、広東電力網は5月12日、2023年の福建省と広東省の相互送電に関する協定に調印した。同協定によると、福建省は2023年、電力の余裕がある3~6月と10~11月に広東省へ30万kW以上を送電し、広東省は福建省南部の電力供給能力が不足する7~9月と12月に福建省へ30万kW以上を送電するとした。電力供給不足の状況を緩和し、電力網の安全性と安定性を強化することを目指す。

ジェトロの現地日系企業へのヒアリングなどによると、6月6日時点で広東省内の各都市で製造業企業に対する電力制限などは確認されていない。

また、ジェトロが6月7日に広東省商務庁の関係者に聞いたところ、現時点で電力を制限する予定はないが、今後気温の変化と電力負荷の状況によって措置を検討するという。

(注1)高温注意報はそれぞれ黄色、オレンジ色、赤色で表される。黄色は3日連続で最高気温が35度以上、オレンジ色は24時間以内に最高気温が37度以上、赤色は24時間以内に最高気温が40度以上の場合を指す。

(注2)中国南方電網のウェブサイトによると、同社は広東省と広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省、香港、マカオを電力供給先としている。

(注3)東部沿岸地域の電力不足を解消するため、水や石炭資源の豊富な中国西部で発電された電力を華北、華東、華南の3つのルートを用いて東部沿岸地域に送電する計画。

(梁梓園)

(中国)

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