韓国、Kコンテンツの輸出活性化戦略を公表

(韓国)

中国北アジア課

2023年06月12日

韓国文化体育観光部は6月5日、Kコンテンツ輸出活性化戦略を公表し、2027年までに輸出額を250億ドルまで拡大させるとした。韓国政府は、北米や中東など、Kコンテンツ輸出の新市場を開拓し、全世界に市場を広げるために、グローバルOTT市場(注1)との協力を強化していく方針を示した。

Kコンテンツ産業は、輸出主要品目として注目されている。2021年のコンテンツ貿易収支は112億ドルと、新型コロナ禍においても黒字を維持した。また、2021年の国家予算に占める文化支出額の割合は、主要国(注2)の中で韓国が1.23%と最も高い。国民1人当たりの支出額も、フランスに次いで多い〔添付資料「図1 各国政府の文化支出額(2021年)」、「図2 国家予算に占める文化支出額の割合(2021年)」、「図3 国民一人あたり文化支出額(2021年)」を参照、出所はいずれも日本・文化庁「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸外国の文化政策の構造変化に関する研究」(2022年3月)」より作成〕。

今後について韓国政府は、中国と日本に集中しているKコンテンツの輸出先を北米と欧州に拡大する方針を発表し、家庭用ゲーム市場と映画などのコンテンツに注力して支援すると述べた。アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなど中東では、当該国の宗教や文化に考慮しつつ、韓国独自のK-POPやKコンテンツを発信していきたいとした。また、このような政策を実現するために、2024年は過去最大規模の1兆ウォン(約1,000億円、1ウォン=約0.1円)を投資し、Kコンテンツ輸出を支援する海外拠点を現在の10カ所から、2027年までに50カ所に増やすと発表した。

秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官は6月5日、「サービス産業発展タスクフォース」にて、「コンテンツを含むサービス産業は韓国経済の60%を占めているが、輸出割合は全体の15%と30年間停滞している。2027年までにサービス産業の輸出額を2,000億ドルに拡大し、世界10位以内に入るサービス業輸出強国として飛躍させる」と強調した。

(注1)OTTとは、「Over The Top(オーバー・ザ・トップ)」の略語で、通信事業者やインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に頼らず、インターネットを通じて提供されるメッセージや音声、動画などのコンテンツやサービスを指す言葉。グローバルOTT市場の代表格は、米国動画配信大手のネットフリックスなど。

(注2)ここで示す主要国は、日本、英国、米国、ドイツ、フランス、韓国。日本・文化庁「各国政府の文化支出の比較」調査参照。

(益森有祐実)

(韓国)

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