山東省済南市、ヒアルロン酸産業のクラスター構築を目指す

(中国)

青島発

2023年06月22日

中国山東省の済南市政府や同省工業情報化庁などは624日、済南市で「中国(済南)ヒアルロン酸産業大会」を開催した。大会では、有識者によるヒアルロン酸に関する最新の研究成果や産業プロジェクトなどが発表された。

研究成果の発表では、山東大学国家糖鎖工学技術研究センターの凌沛学主任兼教授が「中分子ヒアルロン酸は吸収力と効果が最も高く、細胞のオートファジー機能(注1)を向上させることができ、将来的にがん治療にも活用されることが期待される」と述べた(「中国消費網」612日)。

米国大手リサーチ・コンサルティング会社のフロスト&サリバン(FrostSullivan)が発表した「2021全世界と中国のヒアルロン酸業界市場研究報告」によると、中国は世界最大のヒアルロン酸原料の生産・販売国となっている。2021年には中国の同原料の販売量が世界全体の82%を占め、そのうち中国大手バイオテクノロジー企業の華熙生物科技が販売量で世界全体の44%を占めた。

今回の大会では、済南ハイテク産業開発区と華熙生物が共同で設立したヒアルロン酸の産業集積地「世界ヒアルロン酸バレー」プロジェクトが発表された。同プロジェクトは2,900ムー(注2)の敷地面積を擁し、計画投資総額は240億元(約4,800億円、1元=約20円)。研究開発や生産、販売、応用、学術交流、展示会、物流など全産業チェーンを統合し、ヒアルロン酸に関連する産業クラスターを構築するとしている。同プロジェクトは20239月末の完工を予定し、稼働後は1,000億元を超える産業規模、100億元を超える税収、5万~8万人の雇用創出を見込んでいる。

華熙生物の趙燕董事長は「世界ヒアルロン酸バレー」は政策や資源、産業面での優位性を組み合わせた、科学技術イノベーション、産業発展、健康消費財体験、市場応用、カーボンニュートラルのモデル地域になるとしている。

一方で、中国上場企業協会の宋志平会長は「中国のヒアルロン酸産業の優位性は主に原料産業に集中しており、より付加価値の高い最終製品産業で中国国内ブランドは改善の余地があり、産業構造を最適化・アップグレードする必要がある」と述べた(「中国消費網」612日)。

(注1)細胞内にある不要な物質を分解し、栄養素として再利用する機能。

(注21ムー=666.7平方メートル。

(董玥涵)

(中国)

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