英豪FTAと英NZFTA、5月31日に発効

(オーストラリア、ニュージーランド、英国)

シドニー発

2023年06月05日

オーストラリアと英国、ニュージーランドと英国、それぞれの自由貿易協定(FTA)が5月31日に発効した。豪英FTA(A-UKFTA)は2021年6月に合意し同年12月に署名、NZ英FTA(NZ-UK FTA)は2021年10月に合意し2022年2月に署名していた。オーストラリア、ニュージーランド両国首相とも声明の中で、本協定における市場アクセスの成果は、これまで締結した協定の中で最も優れたものと評した。

オーストラリア連邦政府によると、A-UKFTAの発効により、オーストラリア輸出品の99%の関税が撤廃される。発効と同時にオーストラリア産の品目は、農産品では、ワイン、コメ、蜂蜜など、工業製品では、アンモニアとアルミニウムを除き、全ての関税が即時撤廃される(注)。オーストラリアの主要な農産品である牛肉、羊肉、砂糖、乳製品は、段階的に関税が撤廃される。物品貿易以外では、起業家や革新的な技術を持つ人材を英国から受け入れるビザ制度、専門サービス業資格の相互承認の導入や、英国人に対するワーキングホリデーの要件緩和など人的交流の円滑化も含んだ。そのほか、貿易書類の電子化、電子インボイスなどデジタル貿易推進や、人工知能(AI)や新興技術なども含むイノベーション分野の協力推進もカバーされている。イノベーションについての取り決めを記した章が盛り込まれるのは、オーストラリアが締結したFTAでは初めてとなる。

NZ輸出品99%超の関税が撤廃

ニュージーランド政府によると、NZ-UK FTAの発効により、ニュージーランドの輸出品の99.5%の関税が関税割当と組み合わされ即時撤廃される。農産品について、ワイン、蜂蜜、タマネギ、キウイフルーツの関税は即時撤廃、乳製品や牛肉などは段階的に撤廃される。一方、ニュージーランドは、英国から輸入する全ての品目の関税を即時撤廃する。自動車、タービンやエンジン、医薬品につき、英国からの輸入拡大が期待される。A-UKFTAと同様に、デジタル貿易の推進も含まれている。

ISDS条項は含まれず

なお、ISDS条項(投資家対国家の紛争解決手続き)については、オーストラリア、ニュージーランド両政府は協定に含むことに反対の立場を示しており、どちらのFTAにもISDS条項が盛り込まれなかった。

(注)アンモニアとアルミニウムに対する関税は、2026年までに撤廃される。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド、英国)

ビジネス短信 c5d4d7c79153cffc