工業情報化部、6G研究開発の全面推進を表明
(中国)
北京発
2023年06月13日
中国工業情報化部の金壮龍部長は6月4日に北京市で開催された第31回中国国際情報通信展示会で、第5世代移動通信システム(5G)商用化がスタートしてから4年間の成果を紹介した上で、次世代の6G(注)技術の研究開発を全面的に推進していく方針を示した。
同部によると、4月末時点で国内の5G基地局数は累計で273万カ所以上となり、5G携帯電話の利用者数は6億3,400万人に達した。中国工程院の鄔賀銓院士はこの5G基地局数と5G利用者数について「いずれも世界の60%を占めている」と述べ、「低炭素という点からみると、5G基地局のエネルギー効率は4Gの5倍になり、素晴らしい進展を遂げた」と評価した。
また、金部長によると、情報通信業の飛躍的な発展により、経済のデジタル化や、ネットワーク化、スマート化へのモデルチェンジと産業のアップグレードが後押しされ、経済と社会の質の高い発展が促進されるようになった。
このほか、同展示会では次の内容について紹介された。
- 中国5Gネットワークの共同建設・共同利用は世界に中国発のソリューションを提供している。中国鉄塔の張志勇董事長は「この9年間、新たに建設した基地局のIPアドレス共同利用率は当初の14%から83%に上昇した」と紹介した。
- 5Gの融合と応用は広さと深さを増し続けている。6月時点で5Gは鉄鋼や製造、鉱山、電力、港湾などの業界で1万6,000余りの専用ネットワークで大規模応用を実現しており、経済規模は既に100億元(約2,000億円、1元=約20円)を突破した。同部のデータによると、5Gの融合と応用は現在、国民経済の97大分類のうち60分類で実現し(2022年は52分類で実現)、応用事例数は5万件を超えた。
- 5Gネットワークの建設は通信産業チェーンの発展を牽引した。5G端末製品も日増しに豊富になった。2023年3月末時点で5Gスマートフォン、無線ルーター、車載端末などの5G端末製品は1,160種類を超えた。
また、金部長は、中国は今後、新型情報インフラの整備を加速し、5Gの応用シーンをさらに充実させ、産業用インターネットの融合と応用を深化させるとともに、新興産業の育成を加速し、移動通信や光通信などの分野で強みをさらに増強し、次世代インターネットなどの先端分野を先取りして計画し、6G技術の研究開発を全面的に推進していくと表明した。
(注)5G通信以上の高速大容量化や低遅延、多数同時接続などを実現できる次世代の移動通信システム。
(趙薇)
(中国)
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