経済・気候保護省、水素技術関連「飛行実験機」プロジェクトに4,520万ユーロを助成

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年06月01日

ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)は512日、2023~2025年の3年間、ドイツ航空宇宙センター(DLR)の水素技術関連飛行実験機(フライング・テストベッド)(注)プロジェクトに対し、総額4,520万4,700ユーロの助成を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の助成は、ドイツ連邦政府が2019年に開始した第6弾の「官民協同航空研究プログラム(LuFo Klima外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の一環である、水素技術開発に向けた「UpLift H2 Aviation」イニシアチブの枠組みの中で行われる。同プログラムでは、連邦政府が2045年の気候中立の目標達成(2021年7月6日記事参照)に向けて、航空分野における脱炭素化を促進している。

DLRは助成を受けて、小型ジェット旅客機を調達し、飛行実験機への改修を進める。2024年から研究機関、中小企業、スタートアップなどに飛行実験機の利用を開放する予定。同機の活用により、駆動方式、燃料、システムなど将来有望な新技術を実際の飛行環境下で試験でき、研究開発の加速が期待されるという。

DLRのアンケ・カイサー・ピッツアーラ長官は、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定を背景に、「DLRは気候保護と調和した航空の目標を目指す」としたうえで、「そのためには、水素技術や新燃料を活用するハイブリッド式コンセプトを含む、新たな駆動装置とシステム開発において、革新的なアプローチが必要だ」と述べた。また、同長官によると、新たなシステム技術、燃料電池、燃料システムおよびそれらの統合が特に重要な役割を果たす。

ドイツ連邦政府の航空宇宙コーディネーターであるアンナ・クリストマン氏は、プロジェクトの次の段階として、中型ジェット旅客機の飛行実験機の開発を挙げ、実現のため多くの欧州のパートナーとの連携とネットワーク化を目指しているとした。

(注)新技術の実証試験を実施するための飛行機。

(クラウディア・フェンデル、宮林和夢)

(ドイツ)

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