第1四半期の貿易、経済失速で輸入減、炭酸リチウム輸出が好調

(チリ)

サンティアゴ発

2023年06月02日

チリ中央銀行が5月23日に発表した資料によると、2023年第1四半期(1~3月)の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年同期比11.0%増の271億800万ドル、輸入(CIF)が18.7%減の211億4,000万ドルだった。貿易収支は59億6,800万ドルの黒字で、2022年第4四半期に続き2期連続の黒字となった。

輸出を品目別にみると、構成比52.8%を占める鉱産物は、前年同期比8.6%増の143億2,400万ドルとなった(添付資料表1参照)。鉱産物の輸出のうち77.1%を占める銅は、銅鉱石、銅精鉱が12.4%増だったものの、銅カソードが15.2%減で、全体では3.6%減となった。炭酸リチウムは、世界的な電気自動車の需要増に伴う価格急騰につき中国や日本向けの輸出が増加しており、前年同期の2.4倍となった。

農林水産物は、前年同期比16.6%増の34億2,400万ドルだった。果物のブドウ、ブルーベリー、サクランボはいずれも増加し、果物全体の増加に寄与した。工業品は、12.9%増の93億6,000万ドルとなった。サーモンは5.8%増の16億8,800万ドルで、主な輸出先は米国(構成比:43.5%)、日本(15.8%)、ブラジル(12.8%)だった。一方、ボトルワインは19.7%減で、第1位の輸出先であるブラジル向けは20.9%増だったが、中国、米国、日本向けはそれぞれ減少した。

輸入を品目別にみると、中間財は、前年同期比13.4%減の117億3,700万ドルだった(添付資料表2参照)。エネルギー製品は4.0%増だったが、その他の中間財が、化学製品や金属製品などの輸入が大幅に減少したため、21.3%減となった。

消費財は、前年同期比32.6%減の52億3,500万ドルだった。自動車、携帯電話、家電などの耐久消費財は軒並み減少した。衣類や履物、肉についても2桁減となった。資本財は、11.2%減の41億6,800万ドルで、トラック、貨物車やその他の機械も2桁減になった。高いインフレに伴う消費の停滞や、国内経済の失速が輸入に影響を与えた。

輸出入を主要国別にみると、チリの第1位の貿易相手国は輸出入ともに中国で、輸出全体の4割、輸入全体の2割を占めている(添付資料表3参照)。中国への主な輸出品は銅関連製品、炭酸リチウム、サクランボなどで、中国からの主な輸入品は携帯電話、コンピュータ、自動車などの耐久消費財が中心だった。日本は、チリにとって中国、米国に次ぐ3位の輸出先だったが、2023年第1四半期は銅鉱の輸出が減少したことにより韓国に次ぐ4位に順位を落としている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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