中東エネルギー大手2社、カザフスタンへの進出を積極化
(カザフスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)
タシケント発
2023年06月23日
カザフスタンの首都アスタナで6月8~9日に開催された「アスタナ国際フォーラム」では、特にエネルギー分野で外国企業の議論が活発に行われた。中東のエネルギー2社はカザフスタンへの積極的な事業展開に言及した。
8日に行われたフォーラムのセッション「カーボンニュートラルにおける再生可能エネルギーと炭素市場の発展」では、中央アジアで再生可能エネルギー分野の2大投資家とも言えるサウジアラビアのアクワ・パワーと、アラブ首長国連邦(UAE)のマスダールのともに最高経営責任者(CEO)が出席した。
アクワ・パワーのマルコ・アルセッリCEOは、カザフスタン東部ジェティスー州での発電容量1ギガワット(GW)規模の風力発電所建設を皮切りに、同国の再生可能エネルギー市場に新規で参入する方針を明らかにしたほか、ウズベキスタンでもグリーン水素の生産事業を立ち上げており(2023年5月10日記事参照)、EU市場への販売を想定していると述べた。ジェトロが同社に確認したところ(6月19日)、「(ウズベキスタンでのグリーン水素生産)事業は始まっている」という回答だった。
マスダールのモハメド・ジャミル・アル・ラマヒCEOも、同社が世界各国の拠点で2030年までに100万トンのグリーン水素の生産を見込んでいると発言。カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は2023年1月17日、マスダールを含むUAE企業代表との面談で、同国での再生可能エネルギー分野の投資を検討するよう要請している。
マスダールはカザフスタンのエネルギー省とカザフスタン投資開発基金(KIDF)との間で1GW規模の風力発電所〔各500メガワット(MW)の2ステージ構成〕事業の覚書を締結しており、アスタナ国際フォーラムでは同事業のロードマップに署名、カザフスタンでの活動を積極化させている。
グリーン水素技術に加え、再生可能エネルギーとガス火力発電所を組み合わせたハイブリッド発電所の建設も発表された。フォーラム初日の6月8日には、カザフスタンとイタリアの石油・ガス大手カズムナイガスとエニが、カザフスタン初となるマンギスタウ州ジャナオゼンでのハイブリッド発電所事業の共同実施に関する協定に署名した。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(カザフスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)
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