中国のガンフォン・リチウム、アルゼンチンで炭酸リチウム生産を開始

(中国、アルゼンチン)

上海発

2023年06月20日

中国企業は、急速に進む電気自動車(EV)の普及に伴い、主要な電池材料リチウムの確保に力を入れている。中国のガンフォン・リチウム・グループ(江西贛鋒鋰業集団、ガンフォン・リチウム)は6月12日、アルゼンチン北西部フフイ州のカウチャリ・オラロス塩湖でのリチウム開発事業で、炭酸リチウムの生産を開始したと発表した。同プロジェクトは2期に分けて実施される。1期目の生産能力は年間で4万トン(炭酸リチウム換算、LCE)、2期目は最低でも2万トン(LCE)の計画だ。

カウチャリ・オラロス塩湖のリチウム埋蔵量は約2,458万トン(LCE)に達し、世界で最大規模のプロジェクトの1つで、ガンフォン・リチウムは同プロジェクトの46.7%の権益を所有し(1期目生産分では販売権の76%を持つ)、主導権も握る(「澎湃新聞」6月12日)。

ガンフォン・リチウムは、アルゼンチンで4つのリチウム開発プロジェクトを抱えている。総投資額は27億ドルに達し、総生産能力は年間10万トン(LCE)を上回る見通しだ。操業を始めたカウチャリ・オラロス塩湖プロジェクトのほか、PPG塩湖プロジェクトも3月に試験生産を開始した。マリアナ塩湖プロジェクトは建設が始まっており、インカワシ塩湖プロジェクトは探査段階にある。

ガンフォン・リチウムは香港と深センの証券取引所に重複上場しており、リチウムの採掘から加工、リチウムイオン電池の製造、リサイクルまでの一貫生産体制を構築している。同社の李良彬董事長によると、同社は世界各国で19のリチウム開発プロジェクトを手掛け、その権益は合計で4,534万トン(LCE)に達しており、リチウム金属や水酸化リチウムの生産力も世界最大を誇るという(「フォーブス・チャイナ」6月9日)。

(劉元森)

(中国、アルゼンチン)

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