経済特区が物流サービスを開始、中間コスト削減に期待

(カンボジア)

プノンペン発

2023年06月06日

カンボジアの地場財閥最大手ロイヤルグループ傘下のプノンペン経済特区およびポイペト経済特区(注)は、入居企業を対象に物流サービス(トラック輸送)を開始し、5月18日に輸出・輸入便が初めてタイ国境を通過した。物流にかかる中間コストなどを大きく削減したサービスとして、進出日系企業などから期待されている。

カンボジアでは物流にかかるコスト高が、進出企業の競争力を阻害する原因の1つとされてきた。複数の物流業界関係者によると、タイのレムチャバン港からカンボジア側の国境の街ポイペトまでの輸送コスト総額のうち、タイ国内の陸送費用が7割、カンボジア入国以降にかかる通関および陸送費(数キロ)が3割程度を占めるとされている。このうち、特にカンボジア側の通関を含む物流費の高止まりが問題視されている。複数の事業者の仲介により各種費用が上乗せされる商慣習や、国内物流会社の輸送車両不足などが主要因とみなされている。

プノンペン、ポイペト両経済特区の最高経営責任者(CEO)の上松裕士氏は、同社の物流サービス開始にあたり、「自社で通関士を育て、手続きを代行することで、仲介業者の関与を大幅に減らした。これにより、カンボジア側で発生する諸費用を従来比6割減らすことができた」と話す。

同社が開発運営するプノンペン経済特区とポイペト経済特区は、カンボジアで最も多く日系企業が進出している工業団地で、入居企業103社のうち、40社が日系企業となっている。同社が提供する物流サービスは、当面、ポイペト経済特区進出企業向けとして運用し、その後、プノンペン経済特区での展開を視野に準備を進める予定だという。

写真 貨物積載の様子(ポイペト経済特区提供)

貨物積載の様子(ポイペト経済特区提供)

写真 タイ向け輸出貨物を乗せたトラック(ポイペト経済特区提供)

タイ向け輸出貨物を乗せたトラック(ポイペト経済特区提供)

(注)プノンペン経済特区の100%出資子会社として、ポイペト経済特区を開発運営。

(春田麻里沙)

(カンボジア)

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