ジェトロ、北アフリカ市場に関するウェビナー開催

ジェトロは6月20日、オンラインウェビナー「現地進出企業が見るアフリカ市場 第1回：北アフリカ編」を開催した。進出日系企業の目線からアフリカの各国市場を紹介する目的で、3回シリーズで開催するもの。第1回の北アフリカ編には約200人が参加した。

今回登壇した北アフリカの各進出日系企業と共有された視点は次のとおり。

• 医療機器製造大手のシスメックス・エジプト（エジプト）のアハマド・シャウキー氏：「エジプトは地理的利便性や人材などのコスト優位性から、長期的に魅力ある市場」
• 茶やコーヒーの包装機器・包装資材を取り扱うナサ（モロッコ）の鈴木星司氏：「欧州や中東向け製造拠点としてモロッコは魅力的な場所」
• 大手外資企業の現地法人最高経営責任者（CEO）を歴任したアクリ・ブリヒ氏（アルジェリア）：「日本企業の投資などの技術移転がアルジェリアの脱石油・ガス産業依存の原動力になる」
• アロマ製品やオリーブオイルを製造するサラヤ・ナチュラルプロダクツ・チュニジア（チュニジア）のサイーダ・ベンスラマ氏：「高品質な商品製造・販売や、欧州との地理的近さ、チュニジア政府の積極的な投資環境整備が当社の輸出型ビジネスモデルを支えている」

ウェビナー後半のパネルディスカッションでは、カイロ、ラバト、パリの各ジェトロ事務所から職員が登壇し、北アフリカ各国の市場や現地人材の活用などについて活発な議論が交わされた。参加者からは最近注目が高まるグリーン分野に関する質問もあり、エジプトやアルジェリアによる欧州向け輸出を想定した水素製造計画や、モロッコやチュニジアでの国内消費用エネルギーのグリーン化への取り組みが紹介された。

イベント終盤には、ジェトロのアフリカビジネスデスク（ABD）の活用企業として、宇宙ビッグデータを基に土地評価サービスを提供する宇宙航空研究開発機構（JAXA）認定スタートアップの天地人が登壇した。同社はABDのサービスを利用し、入念に対象国を選定した結果、パートナー候補との共同プロジェクトが決定したと述べた。ウェビナー参加者からは、「注目していなかった国も今後輸出先の候補にしたい」「北アフリカにビジネスチャンスを感じた」などの声があった。

（高橋美織）