政府の諮問機関、小型モジュール炉建設に向けた行動計画を勧告

(チェコ)

プラハ発

2023年06月16日

チェコ産業貿易省は6月6日、政府の諮問機関である原子力発電所新設委員会(委員長:ヨゼフ・スィーケラ産業貿易相)が、小型モジュール炉(SMR)建設に向けた行動計画を政府に勧告したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

スィーケラ産業貿易相は、ロシアのウクライナ侵攻と脱炭素に向けた取り組みの進展のため、エネルギー産業は大きな課題に直面しており、国民と産業界への十分なエネルギー供給を確実なものにすることが必要と述べた。現在、改定作業を進めている「国家エネルギー政策」では、2050年までのエネルギー産業の方向性に関して、原子力と再生可能エネルギーが重要な役割を担うとの見通しを示した。

同委員会では、現在、入札手続きが進められているドコバニ原子力発電所の原子炉の増設計画の進捗状況や、今後、ドコバニ、テメリンの両原子力発電所(注)でさらに原子炉を増設する可能性について議論された。これまでの分析では、新たに原子炉を3~4基建設してもチェコの電力需要を満たせない可能性があることから、将来的にはSMRで補うことが適切としている。

スィーケラ産業貿易相は「チェコのエネルギー安全保障の確保に向けて、安定的かつ制御可能な基幹電源として原子力発電を大幅に開発する以外の方法はない」とコメントしている。

なお、チェコ電力(CEZ)は2021年5月に発表した経営計画「ビジョン2030」で、2040年以降に合わせて1,000メガワット(MW)超の発電容量を持つSMRを備えるとしている。2022年3月にはテメリン原子力発電所内の敷地を1基目の建設候補地とすることを発表した。また同社は、これまでにニュースケール(米国)、GE日立・ニュクリアエナジー(日本・米国)など外国企業7社とSMR分野における協力覚書を締結している。

(注)チェコでは、ドコバニ原子力発電所とテメリン原子力発電所が運転中。

(志牟田剛)

(チェコ)

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