中国の商務部、IPEFの「サプライチェーン協定」を批判

(中国、米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

北京発

2023年06月05日

中国の商務部は6月1日、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚級会議で実質妥結した「サプライチェーン協定」(2023年5月29日記事参照)について、アジア太平洋地域の繁栄、安定と経済成長は、排除と対立をつくり出すことにではなく、開放とウィンウィンの協力によりもたらされるものだと批判した。

その上で、中国は、アジア太平洋経済協力(APEC)を含む、開放的、包括的で経済協力と団結を促進する地域経済協力イニシアチブに対しては開放的な態度を保持するが、閉鎖的で対立的な「小グループ」には反対するとした。

サプライチェーン協定は、現地報道でも批判的な論調で取り上げられている。5月29日付の「界面新聞」は、対象となる「重要分野」「重要品目」が何かは明確になっていないものの、重要鉱物、半導体、新エネルギー技術などが盛り込まれるだろうとし、IPEFの目的は中国に対する依存を減らすためのものだとしている。

6月1日付の「21世紀経済報道」は、IPEFは米国が加盟国の半導体、新エネルギー自動車などの先端製造分野の資源を吸い上げ、中国との協力を制限するものだとした。

6月2日付「中国網」は、中国人民大学国家安全研究院の楊丹志高級研究員の分析として、サプライチェーン協定は(1)中国に対抗するという潜在的な意図がある、(2)既存の地域協力メカニズムと対立する、(3)連鎖的にほかの協定も妥結され米国がメカニズム・ルールの制定権・指導権を握る可能性があるという「危険性」を指摘している。

(河野円洋)

(中国、米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

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