アラブ・中国ビジネス会議で100億ドル超の新規投資計画が明らかに

(中東、サウジアラビア、中国、世界)

リヤド発

2023年06月15日

サウジアラビア投資省は6月11~12日の2日間、アラブ連盟、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)、アラブ商工会議所連合会との共催で、第10回アラブ・中国ビジネス会議を開催した〔6月13日付サウジアラビア国営通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(SPA)〕。会議には、中国とアラブ諸国の合計26カ国から3,500人以上の政府高官とビジネス関係者が参加し、「繁栄のための協力」をテーマに、経済パートナーシップの強化、研究・科学イノベーション交流、再生可能エネルギー源の拡充など9分野での協力関係について議論が行われた。

会議では、サウジアラビア政府閣僚から、中国との経済協力に対する期待の高さが示された。基調講演を行ったファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相は「この会議は、歴史的なアラブと中国の間の友好関係を強化・定着させ、人々の利益と世界の平和と発展を維持する新しい時代へと導く、共通の未来を構築する機会だ」と述べた(6月11日付サウジ国営通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ハーリド・ビン・アブドゥルアジーズ・アール・ファーレフ投資相は、中国企業によるサウジアラビアを通じたアラブ世界への投資を歓迎する姿勢を強調した。アブドゥルアジーズ・ビン・サルマン・エネルギー相は「(中国との接近を懸念する外部の声は)無視している」とし、ビジネス機会をともに認識し、サウジアラビアに投資する相手を歓迎すると述べ、中国企業とのさらなる協業に期待を示した。

中国企業の100億ドル超の新規プロジェクトを発表

サウジアラビア投資省は会議初日、中国企業との間で100億ドルを超える投資について合意があったことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。その中には、中国の新興電気自動車(EV)メーカー華人運通(ヒューマンホライゾンズ)との56億ドル規模の投資計画の覚書(MoU)が含まれる。また、会議期間中には、中国銀行による2023年内のサウジアラビア支店開設計画のほか、中国の家電大手ハイセンスと、サウジアラビア大手財閥のアブドゥル・ラティフ・ジャミールによる、サウジアラビアにおける空調機の販売代理店契約締結などが報じられた。

近年、中国企業によるサウジアラビアへの進出が急速に進む一方、ビジネスの現場では相互理解の不足による課題も報告されている。今回の会議に出席したサウジアラビア人コンサルタントの1人は「中国企業はサウジアラビア市場のことを十分に理解していない場合が少なくない」と指摘する。

(秋山士郎)

(中東、サウジアラビア、中国、世界)

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