中国車載電池用部材メーカー、韓国に相次いで投資

(中国、韓国)

上海発

2023年06月29日

中国の新エネルギー車(NEV)の電池用部材メーカーによる韓国への投資が相次いでいる。

深セン証券取引所上場企業のニッケル大手、中偉新材料(CNGR)は6月22日、韓国の鉄鋼大手ポスコと、NEV用電池材料を生産する合弁会社2社を共同設立すると発表した。いずれも韓国の慶尚北道浦項市に設置する予定で、1社目は8月に設立し、正極材の中間素材となる前駆体を製造する。プロジェクトの総投資額は1兆969億6,000万ウォン(約1,097億円、1ウォン=約0.1円)で、CNGR傘下の香港子会社が8割、ポスコ傘下の電池素材メーカー・ポスコフューチャーエムが2割を出資する。前駆体の年間生産能力は前期で3万6,000トン(投資額5,790億9,000万ウォン)、後期で7万4,000トン(同5,178億7,000万ウォン)と合計11万トンに達する見通しだ。

2社目は硫酸ニッケルの製錬を行う予定で、総投資額のうちCNGRが4割、ポスコが6割を出資する予定。資本金は総額4,100億ウォンで検討しているが、生産能力など詳細は明らかになっていない。

ほかにも、上海証券取引所上場企業のコバルト大手、浙江華友鈷業は4月19日、大手総合化学メーカーLG化学と、韓国のセマングム国家産業団地に硫酸メタルと前駆体の生産工場を共同整備すると発表した。韓国側は、2028年までに同プロジェクトに計1兆2,000億ウォン投資し、前駆体の年間生産量は10万トンを計画している、と報道している(「亜洲日報」4月17日)。また同社は5月3日、ポスコフューチャーエムと、硫酸ニッケルの製錬および前駆体を生産する工場を韓国の慶尚北道浦項市に共同建設するとした。

中国企業はNEVとともに、電池用部材の海外進出を積極的に進めている。中国化学物理電源工業協会によると、1~5月のリチウムイオン電池の輸出額は前年同期比65.9%増の267億1,500万ドルだった。米国向けは65.5%増の53億ドルで最も多く、次いでドイツ(2.3倍の45億ドル)、韓国(2倍の35億ドル)の順になっている。

(劉元森)

(中国、韓国)

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